試練の答えとそのご褒美
サバイバルナイフの試練が出されてから1ヶ月後の事だった。赤村は、井口二佐に呼び出された。井口二佐に呼ばれるとは、どんな用事だろうかと思った。
コンコン。
「入れ」
「赤村二士入ります。」
「宿題の件ですよね?」
「今日は何で呼ばれたか……分かる……よな?」
「ですから、宿題の件ですよね?」
「そうだ。さぁ、答えを聞かせてもらおうか?」
「この答案内容によってはSBUを外れて貰う事になるぞ?」
「任務遂行の為ならば、またそれが信頼のある上官の命令であれば、迷いなく殺します。」
「任務に必要なければどうする? 敵は本気だぞ?」
「正当防衛も立派な任務内容に入ると思います。」
「上出来だ。90点かな。」
「ほっ……。」
「キツかっただろう?」
「はい。」
「俺も新人の時に同じ事を上官にされたんだ。当時はSBUは無かったが…。」
「こんなに物事を考えたのは、生まれて初めてかもしれません。」
「任務遂行の為には己を修羅と化す事が求められる。」
「所で、サバイバルナイフって、SBUの初期装備何ですか?」
「お前と青野はまだSBUのフルスペックの装備を見た事ないのか?」
「さわりは文面で見せてもらえましたが、まだ一度も見てません。実戦投入されるまでには、見ておきたいです!」
「ついて来い。」
とそういうと、井口二佐は赤村をつれて武器庫に向かった。
「これ、89式小銃ですか?」
「よく分かったな?」
「陸上自衛隊以外の部隊でこの銃を使ってるのは、うち(SBU)位だからな」
「でも、ガスポートに水が侵入したら次弾が撃てませんよね?」
「よく勉強してるじゃないか。その通り。だから任務ではこれを使う。」
「まさか、64式小銃ですか?」
「御名答。」
「正式には64式小銃をベースとした改造版の64式小銃を使ってる。最も最近開発された20式小銃を今後は部隊に配備するようだがな。」
「見せかけじゃないですか?」
「まぁ、そうなるな。」
「89式小銃は、水上戦闘には向かんのだよ。そりゃあそうだよ。陸上戦闘用の小銃なんだから。」
「このフォアグリップにダットサイトもデモンストレーションの為ですか?」
「水路潜入が当たり前にあるSBUがこんな要らないもの着けないよ。」
「全て機密を守る為のデモンストレーションなんですね?よく分かりました。」
「ちなみにこれが暗視装置が装備されたヘルメット。」
と、俺の庭的な感じでいつか使う愛車を愛でる様な井口二佐の目は輝いていた。