角野一尉の経験値
「角野一尉、少しだけお時間よろしいでしょうか?」
赤村は、恐る恐る聞いた。
「珍しい事があるものだな。今は暇だから良いぞ。」
「サバイバルで人を殺す時のコツって何ですか?」
「井口二佐の宿題だな?さては?」
「よく分かりましたね?で、どうすれば良いのでしょうか?」
「どうもこうもないよ。目標に向かって真っ直ぐ突き抜く。」
「それじゃあ誰にでも出来るじゃないですか?」と、不思議そうに言う。
「あのなぁ、赤村。SBU隊員がナイフの使い方知らないなんて、笑われるぞ?」
「そんなに難しい事ではないと思うんですよ。」
「井口二佐はきっとお前にもっと別の事を言いたいんだよ。」
「別の事?」
「ああ、ナイフ1本でも殺せるって事は?」
「ナイフ以上に殺傷能力のある銃ならもっと命が軽くなる。」
「命が軽くなる?」
「様は簡単に殺せるって事だ。」
「武力と言うモノは常に危ういモノだからな。」
「角野一尉はどうしてそんな事が分かるんですか?」
「バカタレ。俺が何年間自衛官やってると思ってる?」
「ナイフ1本でもそんな意味が込められてるなんて奥が深いですね。」
「そうとも言えるが、所詮殺し合いだよ。戦争なんてモノは。」
「そうですね。綺麗事が通用しないのは確かですね。」
「血生臭い争いの中で人間は発展してきたんだ。」
「難しいですね。」
「難しくはないさ。単純明快。」
「核兵器なんかまさにその産物ではないか?」
「確かにそうですね。」
「でも、我々の様な特殊部隊も必要だから有る訳で。」
「それだけ戦争が多様化しているという事だな。」
「よく考えたら僕らの仕事って危うい仕事かも知れませんね?」
「よく考えなくても危うい仕事だがな。」
「角野一尉は見た目によらずユニークな方ですね?」
「何だよ。藪から棒に。そんなオベッカ使っても、何も出てこないぞ?」
「ありがとうございました。何か分かった気がします。」
「役に立てたかは分からないが、まぁ、頑張れよ。若僧。」
「ありがとうございました(^-^ゞ」