適応力
新人は良くも悪くも怖い者知らずである。その心に恐怖の楔を打ち込む事が、教官(上官)の役割でもある。実際にある恐怖を目の前で示し、少しでも新人に恐怖を与える。勿論、ムカつくからかとか、腹いせの為にそうする訳では無い。
あくまで自衛官として、成長していく為に必要であるからこその必要悪と言える。実際に恐怖が在る事で新人の多くは、自分の限界を直ぐに悟る。そして、自分には何が出来て何が出来ないかも悟る。そうする事で初めて厳しい訓練が、安全かつスムーズに行う事が出来る。また、何故その訓練が必要なのかを悟り、自分が部隊に迷惑をかけない為に何をするのか理解する。
まぁ、言ってみれば、自衛官になるための登竜門とも言える。これはSBU隊員も同じだ。怖い者知らずと言うのは、良い事でもある。しかし、自衛官になるにあたっては、必ずしもそうとは言えない。怖い者無しで命を落とすような事があっては、本末転倒である。世の中には、適応力と言うものが必要な事が多々ある。
それぞれの世界で、各種様々な適応力を見せて行く事で人間は文明を形成してきた。自衛官ほど適応力を必要とする職業は無いかもしれない。乏しい物資を駆使して生き延びて行く。そういう事を成し遂げる為には、高い適応力が必要であり、生半可な適応力では、対応出来ない。対応出来なくて困るのは自分だけに限らない。敵にやられる事で部隊に迷惑をかける可能性もある。迷惑なら良いが、それで部隊を壊滅しかねない事にも成り得る。