国防の志
新入隊員のほとんどが、高卒や大卒の若者である。教育課程を修了しても、まだまだ自衛官としては、未熟な存在である。そもそも、自衛隊を民間会社の様に捉えている時点で間違いな訳であるが、そういう根本的な所から叩き直す事が現場では求められる。
ましてや、SBUの新入隊員ともなれば、教育課程とのあまりの違いに、逃げ出してしまう様な事も無い訳ではない。精鋭を作り出すのも楽な仕事ではない。では、若者が普通の青年ではなく、国防の志となりSBUにおいては、黒い桜になれるのか、どういう教育が成されているのか?答えは、単純だ。何も特別な事はしていない。ただ自衛官とはどうあるべきかを若者にぶつけるのである。
自分達がどんな部隊で、どんなシチュエーションで出動して、どんな任務を遂行するのか。そういう基礎的な部分から、教育を積み上げていく。知識の部分が確立されれば、後はそれを信じ体を鍛え上げる。そうやって、心身共に鍛え上げる。そうやって立派なSBU隊員になり、立派な自衛官になっていく。日々の鍛練こそSBU隊員の全てを構成するものであり、どんな新入隊員でも何れは精鋭に変わるという事が、理論的には可能である。
勿論、理屈ばかりでスムーズに行くとは限らない。時には教育中にトラブルが起こる事もある。そういう部分を乗り越えてこそ、教育のしがいがあるというものである。
海上自衛官は、人間であり、戦闘ロボットでは無い。それだけは忘れたらいけない事である。