成長をする為に
新入隊員がどんな経歴を持っていたとしても、SBUに少しでも足を踏み入れれば、そんな事は一切関係無くしごかれる事になる。
黒岩野も大木田も特別扱いはされなかった。とにかく、最初のうちにこの異常世界に慣れる事から全ては始まる。赤村も青野も相当に厳しい指導をしていた。
しかし、それは恨みが有ってするのではなく、腹いせという訳でも決してない。今の自分があるのは、先輩隊員の厳しい指導のおかげで、ここまでの成長があったからだと、思えるからこそ部下に厳しくあたろうと思う。
勿論、部下からはさぞや恨まれるだろう。だが、それで良いのだ。部下の顔色を伺いながらでは、仕事にならないし、部下に気に入られ様などと思わない方が良い。赤村も青野もその点に関しては理解していた。と、言うよりも自分達自身がそうであったからである。
何だ!?この上官は?と、思いながらもいつか見返してやるぞ、という気持ちが自衛官として成長していく事につながる。赤村と青野もそれが見に染みて理解出来た。どんなに部下に嫌われ様とも、自分の今やるべき事をきちんとこなして行く。そうすることで、部下も自分達も成長していく事につながる。勿論、お互いにそう思える様になる頃には、相当な月日が経過しているのかも知れないが…。
だとしても、SBUという部隊の成長を長い周期で見ていけば、必要不可欠な事なのかも知れない。そうやって、部隊は確実に成長していく事になる。そういうサイクルの中で、成長して行く事が、SBUの活躍のフィールドを広げて行く事になる。無論、そんな事まで分かっている奴などいるはずもないが…。