部下を持つという事
バラクラバの下を覗いて見ると、まだまだ我々の知り得る事の出来なかった真実が、隠されていた。SBU隊員には、機密事項が沢山あって、必ずしも国民にとって、全ての部分が公開されている訳ではない。
だからこそ、本作の様な作品がSBU(海上自衛隊特別警備隊)を知るきっかけになれば幸いである。フィクションではあるが、現状に近いものである事は確かだ。これによりSBUへの理解が進む事が望ましい。
少しずつではあるが、青野と赤村の成長を追う事も出来た。そしていよいよ物語は終盤に向かって行く。赤村と青野が三等海曹に昇進し、遂に部下を持つ事になる。部下を持つという事は、これまでとは大きく意味が異なってくる。勿論、これまで以上に体を鍛え上げる必要もある。部下に舐められる等持っての他だ。
しかし、ここはSBU。部下に舐められるとか舐められないとかではなく、必要な事は敵勢力に負けないだけの実力を、身に付けさせる事であって、個人的な感情は必要ない。当たり前の話かも知れないが、SBUの存在意義は、敵勢力を完全に排除する事にある。部下に多くを求めながら、自分が出来ないという事があっては、部下に示しがつかない。
そういった新たな問題意識も頭に入れながら、後輩や部下の指導に当たらねばならない。いつまでも下っ端ではないのだから。青野も赤村も諸先輩隊員の姿を目の当たりにしているだけに、それくらいの事は理解しているだろう。ちなみに、三等海曹への昇任試験は不勉強では、受からない。形式化していると言われているが、上官の推薦と三等海曹に相応しい知識と経験が求められる試験であると言える。