表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/239

苦難の道

 C班の土井海士長も負けず劣らずである。土井海士長は、アメリカの有名私立大学を卒業したエリートである。本来なら幹部候補生でも充分合格出来る実力を持っていたのだが、青春時代の多くをアメリカで過ごしてしまった彼にとって、日本の自衛隊の入隊制度までは、頭が回らなかった様である。

 日本語能力が劣っている訳ではなかったが、制度を理解していなかった為、下級隊員に甘んじてしまったと言う異色の経歴の持ち主なのである。

 土井海士長は、所々でその実力を発揮する為、上官からしてみれば、実に使い勝手の良い部下であった。勿論、そうやって上官に良いように使われている事を土井海士長は知っていた。

 それでも海上自衛官になると言う夢を望み、その道を選んだのだから、文句の1つも言わなかったのである。

 アメリカの文化をよく知る土井海士長にとって、人付き合いや、ごますりの技術ばかりで、人事が決まってしまう民間会社よりも、階級と言う分かりやすい目標と、努力によって、いくらでも切り開かれた道があると言う完全実力主義の自衛隊の方が遥かに魅力的だったのだろう。

 アメリカ的な考え方や価値観からすると、完全実力主義を選ぶ事は納得出来る。しかし、土井海士長は、あえて大変な道を選択したとも考えられる。エリートだった彼が果たして何も知らずに祖国の特殊部隊に配属される筈はない。土井海士長は、幹部という楽な生き方よりも、一兵卒という困難な道を選択した。そう思っておくべきだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ