転ばぬ先の杖
自衛官の最終目標は、恐らくきっと一人で何でもこなせる様になる事ではない筈である。隊員同士で力を合わせて、大きな国難を乗り越えて行く力を身に付ける事が最終目標であり、それが階級により異なる目標になる事は確かだ。
自分の与えられた立場において、今何をしなければならないのか?その為にはどんな努力を積み重なければならないのか? そういった事をクリアしていかなければならない。
確かに理想に燃えて国を守ろうとする意欲が有る事は大切だが、残念ながら空振りをしてしまっては本末転倒である。国防と一括りにしても、階級が違えば立場も異なるし、何よりも戦車なのか艦艇なのか、戦闘機に乗っているかでも、戦争の見方は異なる。
現場の人間は理想に燃えるよりも、まず与えられた任務をきちんと理解し、どういった行動をとるのが正しいのかを判断する必要がある。それが出来て初めて理想を現実にする為の一歩を踏み出せる。足元さえおぼつかずにも関わらず、一歩を踏み出せば落下する事は火を見るより明らかである。そうなる前に転ばぬ先の杖を用意しなければならない。
難しい事をしろとか、その様な事を言うつもりは毛頭ない。自衛官として目指す高みの先には何が待っているのか? それは、私には分からない。だが、崇高なる自衛官という職業にあっては、もっと詳しく国民に活動内容を周知した方が、国民の理解も進む筈である。