二度目の対井口二佐
その日も突然訪れた。案の定青野も井口二佐にいびられてから2週間。俺にもまた来るかと警戒していた赤村だったが、それを忘れかけた頃の事だった。
「赤村、井口二佐がお呼びだぞ?」
「は、はい。」
何かあるなと悟ったが、赤村は井口二佐の待つ教官室に向かった。
「君を呼んだのは、他でもない。あれからどれだけの力をつけたのか気になって、呼んだんだ。」
「これがSBUの伝統……なんですよね?」
「生意気な口は私の攻撃をかわしてからにしな。」
彼らは道場にいた。
「手加減は不要の様ですねぇ?」
赤村は指をポキポキさせながら、言った。
「期待の新人との二回戦。まぁ、大して変わってないだろうな?」
「行きますよ!」
赤村は構えの姿勢を取った。
「自衛隊員が戦えないと言った奴は誰だ!」
「むう。」
赤村は攻撃するが井口2佐には効いていない。
「何?」
不意をつかれた井口二佐は体勢を崩す。
「そこか!」
待ってましたと赤村は攻撃するが、クリーンヒットしない。
「ふん。」
体勢を立て直した井口2佐が重いパンチを放つ。
「えい!」
赤村は造作もなくそれを弾く。
「やるな。流石は期待の新人、タフネスだな。」
「隊長は事務仕事ばかりだと思ってましたが、違いましたね?」
「50近いオッサンの攻撃とは思えんだろ?」
「えい!」
話も途中で攻撃を繰り出す。
「はっ!!」
「井口二佐はようやく赤村のリズムに慣れてきた。」
「とう!」
赤村もハードパンチを喰らわないようによける。
「えい!」
井口二佐は親子程年の離れた差を気にしない。
「おう!」
赤村は改心の一撃を繰り出すも、決め手に欠けた。
「オリャーッ!」
と、油断した所に井口二佐のハードパンチが炸裂。
「グファハア!?」
赤村は悶える。もう負けると思った。
「そこだ!」
井口二佐はあえてダメ押しをしていた。
「うがぁー!?」
赤村は防具を外して、もがいていた。
バッシャーン。
「起きろ赤村!」
水をかけられても起きない赤村。
10分後、「参りました。訓練小隊じゃ敵無しなんですが……。」
流石に鬼の井口二佐には敵わなかった。
「何言ってんだ?貴様まだ二十歳前そこそこの若者だろ?いくらでも強くなれるって。訓練次第だがな。何なら毎日でも指導してやっても良いが何分小隊長の仕事が山の様にあってな。そこは理解してくれ。」