目指せメリケン負けるな日本
青野と赤村は久し振りに外出をして、外食をする事にした。自衛官同士が、任務外でどういう付き合いをしようとそれは、個人の裁量に任されている。
「まずはお疲れ。くぅー。麦酒うめぇ!駆けつけ一杯は最高だな!」
「俺達、いつも隊員クラブで酒飲むもんな。ま、こういう楽しみもないと、中々続かないよな。」
二人は適度に酒の入った状態で、とりあえず現状をねほりはほり、ぶっちゃけた。
「訓練がどんどんハードになって来ても、それに順応してしまう自分に引いた。」
「ああ、SBUの特徴を考えると、要求されるリスクが高いのも分かるけど、無理な注文にどんどん応えられちゃうのは、ある意味恐怖かもな。」
「なぁ、赤村?俺達海士長になっただろ? この先どうすんだよ?」
「三曹への昇進試験を受けて、正式なSBU隊員になろうと思う。青野、お前はどうすんだよ?」
「はっきり言って今迷ってる。」
「自衛官辞めちまうのか?」
「ずっと閉鎖的な空間で訓練してるだろ? 俺達。俺は他の世界も見てみたい。だから配置換え願いを出そうか迷ってるんだ。自衛官は辞めないよ。当然、三曹への昇進試験も受けるつもりだ。」
「青野、お前井口二佐に相談してみろ?」
「ああ、そうする。」
「でもよ、アメリカ海軍との合同演習ではレベルの違いをみせつけられたな?」
「ありゃ、化け物の集まりだ。付いてくのがやっとだった。」
「負けるに決まってんじゃねーか。それでも戦わなくちゃいけなかったんだろうな。よく、わかんねーけどさ。」
「アメリカや中国とは戦いたくないな。」
「いっそのことアメリカと中国がぶつかりゃあ良いのにな?」
「そしたらもう、第三次世界大戦が始まり核ミサイルの応酬で世界も日本も滅茶苦茶だよ。」
「俺達SBUは何の為に鍛練しているのか分からねぇよな?」
「実戦の1つでもありゃあ、良い刺激になるんだろうけどな?」
「今の俺達の強さが知りたいよな。」
「ああ、実際の所は良く分かんねーがな。」
「下ッ端の考える事じゃねーよ。そもそも。」
「それよりもっと個人のレベル上げだ。俺達は。」
「目指せメリケン負けるな日本。ってとこだな。」
「SBU隊員として一流を目指すのも悪くねーか。」
「俺もそう思う。誇りに思える様に。」
江田島の夜はこうしてふけていった。夜風の気持ち良い夜だった。
「おい、青野。帰隊時刻じゃねーか?」
「ああ、明日は二人とも非番だから、外泊届け出しといた。」
「じゃあ、久し振りにオールナイト出来るな?」
「何だよオールナイトって。だせーな。オールって言うんだよ。酒が足りねー。お姉さんハイボール高めで!」
「野球ギャグヤメレ(笑)」