smart、steady、silent
赤村には、目指しているスタイルがあった。それは、3Sと呼ばれる大日本帝国海軍以来の伝統であった。smart、steady、silent=「スマートで目先が利いて几帳面負けじ魂これぞ船乗り」という事なのである。
船乗りとしてどうあるべきか、という事を示したものであるが、赤村もそうありたいと考えていた。SBU隊員として、教育を受ければ受けるほど、自分が何を目指していけばいいのか、という事が分からなくなる。
強ければそれで良いと言っている人間もいるが、果たしてそれが、それだけが真実だとは到底思えない訳である。
海上自衛隊に所属する隊員である以上、SBU隊員である前に海上自衛隊員としてどうあるべきなのか、という疑問に対してそれが答えになってくれる訳である。そんなベースの部分もはっきりしていない以上、訓練を重ねても良い結果は生まれないであろう。
smart、steady、silent=赤村にとっての原点回帰であった。少なくとも、自分の実力がこれから、伸びようとしている最盛期を迎える前にきちんと、整理しておかなければならない事ではある。自衛隊員ならば誰しもが、どんな形であれ、テーマやモットーや課題を抱えているはすであり、それは赤村だけの事ではない。
一人一人がそれなりに納得のいく答えを出せている訳ではないのかもしれない。しかし、100%満足いかなくても、与えられる任務はきちんとこなさなくてはならない。何処かで折り合いをつけて、自分なりの答えを、各自が見つけて任務にあたっているのが現状だ。それが自衛隊員の偽らざる本音の1つである事は厳然たる事実である事も確かである。