フルコースを当たり前に
その素性すら明かす事を許されない、日本で唯一の海上特殊部隊であるSBU。その中核を形成しているのは、選び抜かれた精鋭達である。バラクラバを身に纏い、顔を隠して階級章すら着ける事をしない。
彼等の存在意義は本当の所、まだまだ日本国民のお呼び知る所にはない。主な存在理由は、海上テロの防止や不審船対策の切り札の二点にある。
彼等は普段人並み外れた訓練をしている訳ではない。人並み外れたという表現が正しくない。人智のお呼び知る所ではない訓練をSBU隊員は、課されている。では、その人智のお呼び知る所の無い訓練とは如何なる物か?
腕立て×1000回、腹筋×1000回、ととりあえずこうした筋力トレーニングはまだ序ノ口。前座を終えたら、100メートルダッシュ×100本、懸垂×100本、これは前菜である。江田島の砂浜でタイヤ引き×50往復、これは箸休め。100㎞遠泳で泳ぎ込み、これがメインディッシュ。最後はデザートに25㎞行軍。毎日このような訓練を課されている。嫌が応でも強くなる筈である。
こんなフルコースを毎日食べるSBU隊員に死角など無いと思うかもしれない。体力的に化け物になった彼等も人間である事には代わり無い。腹も減るし、性欲だって湧く。恋もすれば、風呂にも入る。
そういった人間的な部分が有るからこそ、日々の厳しい訓練に耐えられるのかもしれない。とにかく、SBU隊員の厳しい訓練には目を丸くするばかりである。