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 私は王宮を走る勢いで歩き、王妃の元に向かった。

 王妃は起きて、侍女に身支度させているところだった。

 私は身支度を手伝う侍女たちを部屋から下がらせて、気心の知れた侍女と王妃だけにする。

 

 「おはよ~! 驚いた~?」


 見事な黄金の髪の王妃が、私に軽口を言う。

 やられた!

 私は王妃に向かって言うべきことを言えずにいる。


 「今度やったら、許さないからね!」


 何とか口に出して私が王妃を後に部屋を出ようとすると、王妃がからっと笑いながら言う。


 「やることやれないと、大変だろ?! これで何とかなったんだから怒るなよ。」


 そうだけどね、やり方ってものがあるでしょ?!

 心臓に悪いのよ!


 側妃に迎えたのに初夜を済ませないわけにはいかない。

 以前使った睡眠薬で側妃を眠らせてしまおうとしたのに、昨夜は私が眠ってしまった。

 まんまと王妃の作戦に引っ掛かって既成事実を作ったことになり、微妙に悔しい。


 私の侍従を見ると、蒼白になりつつも王妃の機嫌を伺う始末だ。

 王妃に寝返ったか?!


 「側妃とは俺が仲良くやるから、心配しなくていいからな。」


 朝から男らしく思いやりに満ちたことを王妃が言う。

 どう、仲良くする気なのか、そっちが心配だ。

 

 側妃は王妃と共謀して、私との初夜を何事もなく、したことにして終えた。

 いつの間に二人が接触したのか?


 「任せなよ。俺が守ってやる。」 


 目の前の美女が、私を優しい目で見る。

 言葉遣いと見た目の差が激しい。

 でも、私には王妃の笑顔が、前世の幼なじみだった彼の笑顔と重なって見える。


 王妃は前世で私と同じ歳の幼なじみで、私を事故から守って一緒に死んだ。

 私は女に生まれ変わった幼なじみを心から信用しているし、今度は私が幼なじみを守って幸せにしたいのだ。

 それなのに王妃は私の気も知らず、今回も私を助けようとする。


 ああ、優しいなあ。

 私、頑張って王様続けるからね!

 仕方なく側妃をめとったけれど、私が愛するのはあなた一人だけだから!


 しんみりしてると、艶やかな声が聴こえてくる。

 

 「彼女、幼い顔して胸大きいよな! なあ、裸を見たんだろ? どうだった?!」


 美女のエロ発言は慎んでもらいたい。

 私は美しい王妃をじとっと見るしかなかった。

 


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