悲劇の竜女王 共通①
「ババ様、話ってなに?」
祖母に呼ばれていると知らされて、集落の中心にある大きめの部屋へやってきた。
私の済む惑星サイバー・ジュラスは異星で絶滅したとされるドラゴンがいまだに生息圏する。
原住民やらなんとか部族がたくさん暮らしている。
祖母はこの星の長であり、絶対の存在。両親は駈け落ちして、悲運な事故で他界。
生まれたばかりにここに来た私はこの星しか知らない。
――しかし耳障りな雑音がする。一々騒がずとも祖母は気がついているだろう。
このご時世、盗聴器が仕掛けられることは多々ある。
「魔法学園のテイチャーからお前の入学オフアーがあったんじゃ」
「ふーん」
●
入る者は幼少から入れる学園らしいが、なぜ今更16の私を勧誘するのかわからない。
学園に通うかは自由だと言われても。王族から平民まで通えて学費が無償なんて怪しさプンプンだ。
なんかヤバイことしてるんじゃないかな。
「はーそれにしても今日はいい天気。こんな日はハンマーを振りかざすのに丁度いいね!」
ハンマーを振り回していたら、つい手を滑らせてコンクリートの電柱にぶつかった。
「あ、いっけない……」
まあ電柱はハンマーが一度あたったくらいじゃ壊れないか。
「さっきすげー音したんだけど」
「ナニカアッタノカー?」
歩きながらタブレッティオをいじる銀髪の少年と釣り竿を持った桃髪の少年がこちらへやってくる。
「ちょっとアンフォルメル!!」
「うわっなんだよ……」
私は彼をじっと睨みつけた。
「こんな昼間にタブレッティオいじったらだめでしょ、観光客にみつかったらどうするの」
「今日はテレビの取材アポないよ」
この星は世間では野生と自然溢れる星と思われている。
実際はバリバリ近代化が進んでいて、下半球はサイバーチックでメカメカしい。
一部にはフリだとバレているだろうが、管理する星神アクシュオの指示、引いては創造の神からの命令なので逆らえない。
「少しは弟のペルフィを見習ってよ」
爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
「ねえ魔法学園行くらしいね」
「盗聴してたんでしょ。雑音してたしすぐにわかった」
まだ通うとはいっていないのだが、せっかくだから行ってみようかな。
「俺達も行きたいな。学園はタブレッティオで授業しているから異星人達の前で使っても問題ないよね」
「いいけど……くれぐれも玄人感だしたらだめだからね!!」
ホームページによれば学園側は魔法が使える者は来るもの拒まず。
魔法が使えて、学園に来ない者は直々に招くらしい。
「でも学園はやっぱり怪しい。どこから学費が出ているのか気になる。王族や貴族はともかく、生徒達なら不正に気がついたら告発できるはず……」
「なんらかの不正で儲けて違法と知ってても皆は恩恵にあやかっているとかか?」
「寄付なんじゃない?」
―――こうなったら私が学園の闇を暴いてみようと思う。