カグヤ 共通① 気のせい
魔法と宇宙世界の入り混じっている異空間へ私は非地球から留学生としてここに来た。
ここは惑星ドゥーヴルフロマージェ。大昔に創造神ゴッドが造ったらしい。
何年か前に二人の女の子が宇宙留学しているけど、どちらも警察官や、政府の官僚。
まさか民間人の私が地球の代表に選ばれるなんて、驚いている。
学園には5人の王子様がいる。
「邪魔だ!どけ!」
彼は惑星マージンの王子ストーン=マージン。乱暴もので、喧嘩ばかりしている。
「貴様、少しは王子らしくできんのか!」
ストーンを止めるのは惑星マキュスの王子・カーズ=マキュス。真面目で規則にうるさいタイプ。
「うるせえな!!
クソマジメ野郎、マキュスなんて小さい惑星のくせによ!!」
「なんだと…!」
「二人とも落ち着いてよ~!」
オドオドしているのが惑星ジュプスの王子・ライト=ジュプス。
「なあ、こいつらほっといて
オレとデートしよーぜ?」
女たらしなのが、惑星ヴィサナスの王子・ルセンタ=ヴィサナス。
―――私はこの王子達に求婚しなければいけない。
父が仕事をクビになって、家が大変なことになっているのだ。
だからこれは、家族を救えるチャンス。
――――頑張ろう。
―――――――
「えー学園は学費はタダですが、あくまでも学費がタダなだけです
運営のため個人の文は学園の敷地にある怪奇の森〈ヴァルケルン〉で稼いでください」
なんだと……?
――――タダと言っておきながら学費を稼ぐ必要があると?
ohそりゃないぜゴッド。
「はじめから金のある生徒から金を巻き上げ、貧乏なやつをタダにすればいいのにな」
と、めずらしくいいことをストーンが言った。
「フン、馬鹿が……」
カーズが眼鏡をクイッとあげる。
「なんだと?」
ストーンが頭に血を上らせた。
「古くより学費を免除されるは優秀な生徒のみ
であるからして、馬鹿で金が払えないなら通う資格はなしとされてきた
その暗黙の了解を時代が変わったとはいえど、根本から覆し、不真面目な生徒も無費にするなど平等の理念に反するだろう
よって学費を払う制度を改めて頂くよう抗議にいくとする」
カーズの言葉は正しいが、なんだかムカつく。
「それじゃ真面目で金のない奴が損するだけだろ。
何が平等だ冷血バーカ」
なんでストーンは王子なのに庶民の味方してるんだろう。さすがにわからない。
「……貴様!!」
カーズが怒りにまかせて魔法を発動させようとした。
渦潮が右手に浮く。
「はいはい。おまえら、争ってる暇があるなら森に逝ってきな」
ルセンタが喧嘩両成敗のごとく二人の額をぶつけ、片手でかるがると持ち上げ森の入り口に放り投げた。
さっすが異星人、見た目より力あるなあ。
ヴィサナス星人はその惑星作った男神・ヴィサーナスの影響で美形ばかりらしい。
美形で力もあるなんてかっこ―――――
「なあ、オレ今夜暇なんだけど、どうする?」
あ、気のせいだ。
毎日観察していたせいですっかり忘れていたけど、彼らは王子<かねのなってるき>。
ルセンタのナンパをスルーしたが、待ち望んだ王子<おかね>だ。
まあ、学園の方針いわくこの学園内で生徒たちは身分なくみな平等。らしい
気後れするのはしかたないけど、近づかないと。
そして選り好みしている場合じゃない。
はやく彼等の内の誰かに話しかけて存在に気がついてもらってゆくゆくはゴールインだ。
って私、一応留学生なんだから魔法の勉強しないとだよね。
昔はテラネスにも魔法使いはいたし、やろうと思えばやれんじゃね?なノリでやってみよう。
「木精霊よ、我が右腕に宿り植の源となれ」
なんだか暖かいものが右腕に降れた。
そして、土から緑の芽が少し延びた。
「魔法が使えた!?」
「ねえ」
背後から声がしたので振りかえる。
「……誰?」
「デュルフィス=ビッグ=ドゥーブル、この星の王子だよ」
――――
「いやー驚いたな」
「まさかまた王子が増えるとは思いもしなかったぞ」
「今日は森の中で遊撃戦かー」
それにしても遊撃戦ってなんだろう。
「昨日はひどかったらしいな。森や洞窟ではドラゴンが暴れてたらしいし。学園内にも黄ドラゴンが現れたらしいし」
「森のドラゴンはアクアルナ、洞窟のドラゴンはナキヒ=メイセイ、学園内のはアスリル・ヘミンが倒したらしいぜ」
前者は偉大な魔法使いサンドラマの孫、次はは私と同じテラネスの留学生、最後は学年最下位の子。みんなドラゴン倒しちゃうなんてすごいなあ。
「あーめんどくさいな」
なんやかんやで翌日。成績表が電子パネルにはられる。
【3年|1位ヴィサナス2位レライ3位ルセンタ4位ナキヒ】
【2年|1位ユベリス1位ミューティロギアン2位ウィダス3位カーズ4位ニルス19位コンファル154位幸200位アクアルナ389位ラヴィーナ399位ベルター400位アスリル】
【1年|1位プライデア2位フォドル3位ビッグス】
【4年|1位シェガン2位クラン3位ラミラ】
【論ヶ位ラウル】
うわールセンタって頭よかったんだ。なんか昔金髪は馬鹿みたいなイメージの映画あったなあ。
それにしてもカーズって目の敵にしているマージルクス星人に成績負けてるんだ。
しかも三位!――私は来たばかりだからまだ反映されてないけど、最下位間違いなしの予感だなあ。