魔法学園ジュエリッタ 共通1
少女が目覚めると森で、自分が誰かわからない。
あってはならない凄まじい魔力が体にまとわりついている。
『 』
△
「入学からずっとこのイベントを待ちわびてたの!」
ジュエリッタは目をキラキラさせ、クラス担当教師のラグシュアルを見上げる。
彼に憧れる一部の女子は鋭い眼つきで彼女を睨む。
「それは良かったな」
彼が素っ気ない態度で、生返事をすると女子生徒の機嫌が直る。
レアンドール魔法学園の他の学校にはない特別なイベント。
担当教師と代表4名で構成された5人チームでクラス対抗戦を開く。
年に一度、一年生のみが参加でき、その後の成績に関わる。
基準としては皆勤賞のようなもので、学園で一目置かれるのだ。
優勝したチームのクラスには名前がつく。
△
「ラグ兄さんの率いるチーム、絶対優勝だね!
そしたらお祝いにビーフシチューとベイクドチーズケーキを焼くから」
(帰りに材料揃えないと)
手を引きながらクラスの皆が集まる場所に向かった。
「ふ……気が早い」
△
「従姉に聞いたらプリマジェール学園でも似たようなのしてたらしいわ」
「他の学校では教師は参加しないのに、ここだけなんだよな」
「誰が参加するの?」
「当然優勝を狙うだろ、成績優秀者で決めよう」
話し合いの結果、入学試験の筆記・魔術の総合的な成績がいい4名で構成された。
7大魔導一族ではないものの、名家のご令嬢らしい。
「あ、ヴェノーチカさんおはよう」
「おはよ~私も去年参加したからこの空気懐かしいなぁー!」
「あそこの、成績上位者が代表なの総合的に高い点数で」
「へー優勝狙うなら魔力全フリで行けばいいのにー」
「え?」
「魔法を使う知識があっても力がないと無駄だし
知識がないなら危険だから、役立つかそれ以外に分けて
ここぞというときにインプットされた知恵を自然と発動すれば
いいんだよ~そういうのを才能があるっていうの」
「やっぱり優勝者の言うことは違う!」
「よせやーてれるやい! 特別に彼らのデータ教える!」
「俺は女が大嫌いなんだ!」
「あの赤紫髪、レブナは平民筆記が428点
魔術の成績は普通レベルで薬学が加点され278点」
760
12
「なんですって!」
「七大魔導一族ボルディオン分家のコルビパンの次女のサンデリアは342+341点」
683
30
「僕はお前のように野蛮な平民が嫌いだな」
「レブナの右にいるヴァニオス七大魔導一族バロビニアンの分家に当たる
カテルニクスの次期当主。452+484点」
936
1
「あーあ、何で優秀なヤツはこうも……」
「七大魔導一族クラールの分家ミナムスの長男は320+355点」
675
31
「すごすぎて声がでません。探偵なれますよ」
「去年の31位が751だったから、今年はあんまり点数よくないね」
「う……」
「でも私、ジュエリッタちゃんすごいと思う!」
「魔法しか取り柄ないもので……」
「私は去年152+489で最下位、ジュエリッタちゃんは172+500で33位だもの!」
「え? ヴェノーチカさんよく副会長になれたね……?」
言ったら悪いが、私より筆記が悪い。
「またね、頑張って!」
「うん、参加はしないけどね」
「うわ副会長じゃん」
「あの人、去年は学年全員の平均点数把握したらしいぜ」
「怖い」
「……憧れはしないかも」
何だかまとまりがなくて、これで優勝は無理だと直感した。