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バーバンクお父さんの花

作者: 糸川草一郎

花がありました

朝日がさせば、淋しく笑み

温室の日だまりにうららかに揺れて

花には夢がありました

それはやさしいひとに愛されて生きたい

花が望むことなんてそんなささやかなこと

花にはお金があっても

意味がありません

水と肥沃な土と日光があれば

それでいい

花は人の心が分かります

とげとげしい心の人が近づくと

萎れてしまうことがあります

花はある園芸家のこどもでした

名前をルーサー・バーバンクと言います

ほんに心やさしい園芸家でした

バーバンクお父さんは花とお話のできる人でした

あるお客がやってきました

その人はお金持ちでした

たくさんの株を売買して

札束をいつもひらひらさせていました

お金持ちは花を見て一目で気に入りました

五千ドルで買う、と言いました

バーバンクお父さんは首を縦に振りませんでした

そんな事をおっしゃる方には差し上げません

この花には価値がつけられないからです

お金持ちは言い値を破格の金額に上げましたが

お父さんは相手にしませんでした

その後に貧しい子供がやってきました

三ドル五十七セント貯めました

これで買える花をください

病気のお母さんが哀しいことばかり言うので

お母さんの心を明るくさせたいんです

バーバンクお父さんはにっこり笑って

とっておきのがあるよ

と言って見せたのが例の花でした

大切にするんだよ

この花はきみのお母さんの心を

きっと明るくしてくれるはずだからね

旧い話なのでほんとうかどうか知りません

バーバンクお父さんの住む土地に

大地震が起きた事がありましたが

お父さんの硝子の温室は

まったく被害が無かったそうです

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