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二話

ちょっと異世界にトリップしてました。

そう、社会と言う名の異世界に……。


 オレ、トンバ、アスティの三人はインフィニティアを脱出したあと、その場でパーティを解散した。

 トンバは田舎に顔を見せに。アスティは自分を追い出した学園と、そこに居るかつてのライバルへ復讐するために学園へと向かった。


 そしてオレは、愛しい愛しい我が心のマドンナであり太陽である少女、ミーナを探すことにした。

 そもそもオレがインフィニティアに潜った理由は、冒険者となったミーナを探すための資金作りだ。それが思いもよらぬ大冒険になったわけだが。

 その大冒険は、オレに数えきれないほどのスキルを与えてくれた。そのスキルを使えば、人探しなんてあっという間に終わらせることができる。

 つまり資金なんて必要なくなってしまったのだ。



 二年も経てばミーナはどれほどの冒険者になっていることか。きっとカッコイイ二つ名とかもらって有名なダンジョンとか攻略しているに違いない。

 そんなことを想像すると、今だに無名な自分では見劣りするのではないかと、ちょっとだけ不安になる。



 意識を集中する。

 自分からミーナへと伸びる因果の糸を見る。これは自分が見たことのある存在との繋がりを可視化する技術だ。インフィニティアで戦っていたときは、逃げ出した獲物を追跡するときに使っていた。

 地上に出てから気づいたのだが、このスキルは人探しにも使える。

 もっとも、探せるのはオレの過去と未来の中で巡り会う人物に限る。会った事もない、これから先の未来にも会うことの無い人物には使うことは出来ない。


 今にも消えそうなほどに儚い因果が見えた。

 色は赤。これが因果の糸。オレと彼女の繋がり。これをたどった先に彼女が居る。


 街の出入り口に立ったオレは、さっそく彼女の元まで向かおうと最初の一歩目を”力強く”踏んだ――



――瞬間、大地が爆ぜた。

 大地震が巻き起こり、街の建物は倒壊。遠目に見えた山が噴火し、地面には奈落の底を思わせるほどに深い亀裂が生まれる。

 どうやら力加減を間違えて、光に近い速度で一歩を踏み出してしまったようだ。

 星が爆散しなかったのは、この星のどこかにいるアスティかトンバが異常に気づいてフォローしてくれたからだろうか?


 まずいなぁ、想像以上に力加減が難しいぞこれ。

 ある程度の加減なら無意識で大丈夫だけど、意識的にすこし力を込めたらいきなり物理法則の限界値を叩きだしてしまう。

 こりゃ、必要以上に慎重に行動する必要があるな。


 とりあえず、噴火した山と大地の亀裂やクレーター。それと建物の倒壊によって産まれた死傷者を時間操作で元に戻す。

 それから再び、今度は優しく、記念すべき一歩を踏み出した。



 そうして一ヶ月ほど、飲まず食わず休まず眠らずで歩き続けた。道の途中で山賊に襲われて身ぐるみを剥がされるというトラブルが起こったりしたが、大雑把に見れば良好だった旅路と言えるだろう。

 正直、山賊ていどなら返り討ちにする自信があるのだけれど、オレが手を下すとどう手加減しても命を奪う以上のダメージを与えてしまう。強盗殺人ていどの罪でそこまでやるのは、いくらなんでも残酷過ぎる。



 そんな道中。オレは街道沿いに流れる川のほとりで、行き倒れている子供を見つけた。

 白に近い金髪のサラサラした髪を腰まで伸ばした少年だ。マントや装飾の少ない服などから、一見すると旅人としては珍しくない服装をしている。もっとも、手触りから使ってる布の材質はそこらで売られている服とはケタ違いの価値があるのは容易に知れた。


 あと、びっくりするほど太い。

 いや、体型の話じゃなくて因果の話ね。この子とオレをつなく因果の糸がすっごい太い。もしアスティとかトンバに見られた「ヒューヒュー♪」と口笛吹かれそうなほど太い。

 顔立ちは丸い小顔ですごく可愛い。プラチナブロンドの髪と合わせるとよくできた人形のようだ。男だけど。



 倒れていた原因を探るためにつまびらかに身体を見てみると、脇腹の辺に一筋の切り傷があることに気づいた。

 とりあえず時間操作で傷口をなくしてから、そばにあった木陰に横たえる。


 さて、どうするか。

 身なりから、この子は名の知れた商人か貴族の息子だと思われる。

 怪我が切り傷だったことから、誰かに襲われたことは間違いない。ただ、周囲に争った様子が無いのが気になる。

 ……起きたら軽く事情を聞いてみようかな。どうにもこの子とオレは太い縁があるみたいだし。

 





いまさらだけど、感想にあった「戻れないのに違和感」について。

戻るスキルはあるけれど、元の世界のIPアドレスのようなものが分からないから無理だったという設定を思いついたのですが、どうでしょうか?

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