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時を待つ
早朝、ふと庭木の枝に目を遣ると、蝉が羽化する処だった。
白く柔らかな身は、穢れを知らぬ幼子の様に輝いている。
「あ」
私は思わず縁側から飛び出し、それを狙う椋鳥を追い払った。
蝉の羽が次第に乾き、無垢な身に彩りが添えられる。蝉は微動だもせず、ひたすらにその瞬間を待っていた。
やがて大きく羽を広げ、ジジと啼いて飛び立った。
私は飛び立つ勇気に心からのエールを送りながら、神々しい物を見る思いでその雄姿を仰ぎ見た。
早朝、ふと庭木の枝に目を遣ると、蝉が羽化する処だった。
白く柔らかな身は、穢れを知らぬ幼子の様に輝いている。
「あ」
私は思わず縁側から飛び出し、それを狙う椋鳥を追い払った。
蝉の羽が次第に乾き、無垢な身に彩りが添えられる。蝉は微動だもせず、ひたすらにその瞬間を待っていた。
やがて大きく羽を広げ、ジジと啼いて飛び立った。
私は飛び立つ勇気に心からのエールを送りながら、神々しい物を見る思いでその雄姿を仰ぎ見た。
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