目次 次へ 1/31 啼き声 黄昏時の声がいつの間にか変わっている 帰路の脇を覗けば蝉の骸が増えている 暑苦しいと嘆いたその声も 気づけば随分、少ない 変わって涼やかに鼓膜を揺するは ひぐらしの寂しげな声 ほかの子らと同じ時期に啼くはずなのに この子だけが、寂しげに啼く 慎ましやかに寂しげに、黄昏時を選んで啼く いつもこの時期に気づくのだ ひぐらしの所為じゃない 「今年も帰り損ねたな」 呟けばまた彼らが啼く お盆のたびに悔やむ自分が相変わらず今年もいた