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きっといつかは最高の旦那様  作者: 黒塔
第2章 高価なプレゼントよりも
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胸元の重たいネックレスにうんざりとしながらも会場に戻ったメリッサは、多くの令嬢たちに囲まれるヴァンスの姿を見かける。しかし、彼がこちらの気付くと令嬢たちを置いて、メリッサの腰を抱いてすぐさま仲良しアピールを始めた。



「そのネックレス、やっぱり似合っているよ。お前の小さな胸が隠れて良いじゃないか?」


そんな中で意地悪気にメリッサの耳元で小さく囁くヴァンス。待っている間にワインでも口にして酔っているのか耳元が少し赤くなっており、普段よりも軽口が増えている。初夜で失敗して以降、お酒には気を付けていたヴァンスだが、令嬢たちに囲まれていた中ではプライドもあって断れなかったのだろう。



以前の様な失敗を起こさないよう、ドレスに隠れて見えないだろうとヴァンスの足をぐっとヒールで踏みながら、酔いを醒ますようにと口にするメリッサ。



「本当に素敵なプレゼントよね。光の反射で眩しくて、私の顔が見えないくらいでしょ?」

「っくく、それは傑作だな。まぁ、俺を射止めた女なんだから、それくらい輝いても良いんじゃないか」



それから暫く、会場は本当に平和な時間が流れていた。事前に持ち物検査が厳重に行われており、多くのナイフや怪しい物品が回収されていたというのも理由にあるだろう。メリッサを妬むような女性たちの視線が向けられているものの、べたべたと体に触れているヴァンスの前でわざわざ騒ぎを起こそうとする者はいなかった。




「まぁ、俺たちもここらで帰るとしよう」



招待客への大体の挨拶も終え、ヴァンスがそう声を掛けてくる。メリッサもそんな提案に頷いて会場を後にしようとした頃、不意に聞こえてくる騒ぎがあった。



騒ぎの視線の先に目を向けた時、庭で集まる貴族の令息たちの姿が見えた。彼らの手には泥だらけの子猫が捕まえられており、必死に逃げようとする猫を馬鹿にするようにして騒ぎ立てている。橙の瞳が輝くその猫は確かに泥で汚れてぼろぼろであり、貴族たちのペットには見えない風貌だった。



「どこから入り込みやがった、この小汚い猫め!!」



そう言った1人の令息が捕まえた猫を、近くの池に投げ込もうとする。そんな状況を見て…メリッサの足はすぐさま動き出した。途中でヒールを脱ぎ去り、傍にいた貴族たちをかき分けて池に捨てられそうになっていた猫に駆け寄るメリッサ。



しかし、池に入る寸前だった猫を助け出せたメリッサは、そのままバランスを崩してしまう。


いつもならきっとどうにか体勢を戻すことが出来たはずだ。しかし、今日は動きづらいドレスやコルセット…そして首元にかかる重たいネックレスがメリッサの体を池へと引き込んでしまう。



ヤバイと思った時にはすでにもう、どうしようもない状況だった。…メリッサが最後に見たのはこちらを見て驚く貴族たちの姿と、その奥で慌てて追いかけてくるヴァンスの姿だった。



「メリッサ…!!!!!」






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