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きっといつかは最高の旦那様  作者: 黒塔
第5章 妻としての役目
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-3



実家に戻ってきて半年の月日が流れ、メリッサのお腹はもうすっかり大きくなっていた。



メリッサとヴァンスの離婚に関しては、メリッサが領地へ戻ってきた後にまもなく陛下の口から公にされた。離婚の理由に関して詳しく明かされることはなく、ただ、メリッサがアイスロック病の治療のために領地に戻ることは素直に明かされたこともあり、人々の間には暫く様々な噂が流れていた。



その中でも母親をアイスロック病で亡くしている第1王子のセドリックや、同じく妻をアイスロック病で亡くしているローガンは頻繁にメリッサの体を案じてお見舞いへと来てくれた。セドリックからは時折、ヴァンスの近況を聞くこともあるものの…ヴァンスはいたって真面目に政務に勤めているという。



メリッサと別れて数日は酒に溺れたり、バルコニーの柵に座り込んで考え込んでいたと危ない行動も多かった彼だが…最近はおかしな行動も減っているらしい。それでもメリッサの病状を気にしているようで、見舞いに向かったセドリックには事細かにメリッサの病状について聞いていると話していた。



「今日もまた、詳しく聞かれることになるよ。何を食べれていたか?とか、苦しそうにしていることはなかったか?とか、そんなに気になるなら自分で会いにくれば良いのに」



そう苦笑したセドリックは、お見舞いに持ってきた山イチゴを1つメリッサの口元まで持ってきてくれる。口が動かしづらくても食べやすいように、指先で潰してからメリッサの口元まで運んでくれた。



「…いや、俺はその気持ち凄くわかる気がする。俺も愛する妻がやつれていく姿は正直直視したくなかった。俺の場合はあの山小屋で、俺しか介抱できる奴がいなかったから仕方なかったけどな」



そう話すローガンはメリッサの冷たくなった指先をマッサージしながら、妻を思い出すようにしてそう話した。そして、そんなローガンを真似するように、彼によく似た小さな男の子がメリッサの指を同じく小さな手でマッサージしていく。



メリッサはそんな姿が微笑ましくて目元を細めるものの…もう言葉を口にするだけの力はなかった。少し目を開けているだけでも疲れてしまって、ゆっくりと目を瞑る。そんな中、メリッサのお腹の中は今日も元気にお腹を蹴り上げる子の動きが分かった。



「あ、動いた!!動いてる!!」



ローガンの息子であるウィルがそうして楽しそうにしながら、メリッサのお腹に触れた。彼はなにより赤ちゃんの誕生を楽しみにしており、楽しそうな笑い声が部屋に広がる。



「ねぇ、お腹には双子が居るんでしょ?いいな、早く会いたいな!僕、お兄ちゃんだから、ちゃんとおもちゃも貸してあげられるよ!」



無邪気なウィルの声に、気づけば部屋には鼻をすする男たちの声が聞こえていた。小さく震えながらも、平気に振舞ってウィルに優しく声を掛けるセドリックとローガン。母親が病気で亡くなったことをまだ理解していない彼は、今後、メリッサが病気で亡くなるかもしれないということもまだ理解していないのだ。



「あぁ、産まれてきたらみんなで可愛がろう」



ローガンのそんな優しい声を聞きながら、メリッサの目元も熱くなる。けれどそのままゆっくり、メリッサの意識は沈んでいくのだった。




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