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きっといつかは最高の旦那様  作者: 黒塔
第4章 遅すぎた後悔
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「何があったか話してみろ」


王宮の地下にある薄暗い尋問部屋で、苛立ったようなヴァンスの声が響く。メリッサの誘拐を聞いて落ち着かない時間を過ごしてきたヴァンスだったが、ようやく犯人を捕らえたと報告を受けたもののその場にメリッサの姿はなかった。


メリッサの誘拐を聞いた王妃が倒れ、陛下とシャルルが王妃に付き添っているために、捜索の責任者を勤めているのはヴァンスだった。しかし、メリッサを助けに向かったはずの騎士たちが連れてきたのは…メリッサではなく泣きじゃくるジュリーだった。



彼女の話では、メリッサはジュリーを助けるためにも男たちを引きつけ、森の奥に消えていったのだという。その後、騎士たちが追いかけた先に…目の前で縛り付けられているこの男がいたのだ。



「あ、あの女は…俺の目の前で川に飛び込んだ。は、はは…女の姿が見つからねぇんだろ?あの濁流じゃ、生きているはずなんかねぇよ」


うすら笑いを浮かべたその男に、ヴァンスは強い蹴りを浴びせる。尋問部屋には男が吹き飛ぶ衝撃音と、男のうめき声が響いた。



実際にメリッサが川に飛び込んだ様子を見た騎士はいないために、男の言うことが本当なのか真偽は不明だった。ただし、数日前までの大雨で川は増水しており、メリッサが飛び込んだという川は当時酷い激流だった。



もし飛び込んだのが本当だったのなら、川の下流で騎士たちがメリッサの行方を見つけてもおかしくないはずだった。しかし、メリッサが川に飛び込んだと報告を聞いてからもう3日も経っているが、メリッサの姿はどこにもなかった。




「…男の尋問を続けろ。何かわかったらまた報告にきてくれ」



ヴァンスはそう地下にいる騎士たちに命じると、尋問室を出る。そんなヴァンスは地下を出て太陽の光を浴びた時に突き刺さるほどの眩しさを感じて、より頭痛が酷くなった気がした。メリッサが失踪して3日、ヴァンスはもうずっと締め付けられるような頭の痛みを感じている。



普段は明るい声色や遊び人の様な風格やからもそれほど恐れられることはないヴァンスだったが、今はそんな普段の姿からは想像できないほど恐ろしさが滲みでている。あの陛下の血を引いていると考えればおかしなことは何もないが、今までの姿を知る周囲の人たちも驚くほどだった。



実際に、メリッサの誘拐を指示したとされるスペンサー伯爵家は裁判を待たず、ヴァンスの指示ですぐに処刑が行われた。理由は馬鹿らしく、メリッサが猫を庇って自分たちが責められた件に対しての報復だったという。



(メリッサを追いかけた騎士たちは、あの時はもうすぐそばにいた。どうしてもう一歩早く駆け付けられなかったのか。…もし、あの場に俺がいたのなら、真っ先にメリッサの身柄を保護したはずだ)


ヴァンスはずっと、そうして後悔を続けていた。




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