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きっといつかは最高の旦那様  作者: 黒塔
第3章 逃れるためには
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その日の夜のこと、メリッサは恐怖で震えて眠れないジュリーに膝枕をしてあげながら、やっぱり自分だけが1人で逃げられないと感じた。そんなことから、夜に荷馬車にこっそりと訪ねてきた男に「私は最後までここにいます」と答えることにしたメリッサ。



「俺が信じられないっていうのか?…お前はこのままじゃ」

「娘さんと私を重ねて私を助けるっていうなら、あなたは今のうちにこの仕事を抜けた方が良いと思います。あなたはまっとうな仕事について娘さんを救ってあげてください」

「んなこと、簡単にできるわけ…」


そう話してる最中だった。突然後ろから何者かがやってきたようで、男が驚いたように振り向く。そうして男が急に気を失ったように倒れて…後ろから現れたのは数人の王家の騎士たちだった。



「メリッサ様。今すぐお逃げください!」


メリッサは見知った騎士を見てすぐさま、ジュリーの手を引いて荷馬車を出る。しかし、騒ぎに気付いて他の男たちも起きてきてしまい、その場はすぐさま戦場となってしまった。


「おい、絶対に逃がすな!!」

「片方の女はどうでも良い。狙うのは貴族の女のほうだ!」



あちこちで怒号が聞こえ、夜の薄暗い森では途端に騒ぎになる。そうして、ジュリーの方に男たちが向かっていくのが見え、メリッサはすぐに太ももから小剣を取り出した。



「この小剣を見なさい!ここに刻まれている紋章があるとおり、本物のメリッサは私よ!!」


メリッサにとってそれは賭けだった。そうしてメリッサは、ジュリーと反対側へと一気に駆けだす。犯人の男たちは困惑しながらも何人かはメリッサの方に吊れたようで、メリッサはそのまま足を進めた。



「メリッサ様!」

「私は大丈夫、皆はジュリーをお願い!!」



追ってくる男の足音が近づいてくる中、メリッサは必死に夜の森の中を駆けていく。


(今まで聞こえてきた周囲の物音からも、きっと川が近くにあるって分かってた。それに今は夜だから、川に落ちた私を追いかけるのはきっと容易じゃない。川の恐ろしさは分かってる。でも、今はこうして逃げるのがきっと最善手よ)



メリッサはぎりぎりまで追いかけてくる男を引きつけてから川へと飛び込もうとする。しかし、どうしても直前で足が動かなくなった。



「っ待ちやがれ!!!」


その瞬間、メリッサは追ってきた男に髪を掴まれ、地面に押さえつけられた。


「手間かけさせやがって」

「…っ、放して!!」


メリッサは手にしていた小剣を目の前の男に振りかざす。そうして…男が少し怯んだ隙に、勇気を出して川へと体を預けた。


一瞬にして大きな水音に飲み込まれ、体中を近くの岩に打ち付けるような激しい痛みを感じるメリッサ。それでもメリッサは口から息が漏れないように必死に手で押さえ、目をぎゅっとつぶった。



(…きっと苦しいのは今だけだ。ある程度、男たちから距離を離れたら、川を上がって…)


しかし、メリッサはそのまま意識を手放してしまうのだった。





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