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きっといつかは最高の旦那様  作者: 黒塔
第3章 逃れるためには
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暫く時間が経って、メリッサはメイド服を整えてヴァンスの部屋を出ることにする。既にヴァンスは満足げに部屋を出て行ったため、後はメリッサが人目を忍んで部屋を出れば…全ては解決のはずだった。


しかし、メリッサが部屋を出た時、なぜか扉の前にいたジュリーと顔を合わせる。



「ちょっと!なんでヴァンス様の部屋からメイドが出てくるのよ!」

「っ…私はヴァンス様に頼まれてシーツ交換に訪れただけでございます」



ちょうど、汚れたシーツを持っていたために上手く誤魔化すことが出来たと感じたメリッサだったが、ジュリーの傍を通り過ぎようとした際に、突然メイド服を掴まれる。



「待ちなさいよ!貴方が仕事をしているだけっていうなら、どうして、貴方のうなじにキスマークがあるわけ?」



そう問い詰められてメリッサは何にも考えが思い浮かばず、すぐさまジュリーの手を払ってその場を逃げる。これ以上言い訳をするよりも、あのまま人が集まって騒ぎになる方が絶対にトラブルに繋がると考えたからだった。



ただ、あのトラブルをきっかけに「ヴァンスの女遊び癖が再発した」だとか、「結局、メリッサはヴァンスを夢中に出来なかった」だとか、散々な噂が広がり始めた。


噂の中心にいるのはあのジュリーであり、メリッサのことを敵視していたことからも余計にこの状況を利用したいようだった。





「メリッサ様、元気を出してくださいね!」

「そうですよ。ヴァンス様は今回のことで凄く反省しているって噂も流れていますし、悪いのはヴァンス様を誘ったメイドの方なんですから!」



噂が広がって数日した頃、収穫祭に参加していたメリッサは、顔を合わせた人々から元気づけるように声を掛けられる。今は街の教会で、収穫祭で配るための野イチゴのクッキーを作っているところだった。


普段から孤児院訪問や病院の手伝いなどで多くの人々に関わることが多かったメリッサには、こうして親しく声を掛けてくる人々たちも多く、メリッサもこの状況を気に入っていたのだが…今回のことには流石に苦笑いが漏れてしまう。



「本当に、我が息子ながら情けないわ」

「まったくこんなにも素敵な奥様がいて、他の女に目を向けるだなんて…」



同じく収穫祭の手伝いに着ていた王妃や乳母のメリッサまで悪口に加わって、メリッサは余計に気まずさを覚えた。そもそもあの浮気相手は変装した自分なのだが、その事情を周囲に明かせていないこともあり、彼だけが責められてしまう状況が凄く申し訳ない。


ヴァンスからは今回の事件の後、陛下とも話したうえで「俺の女遊びとして処理するからメリッサは知らないふりをしていて良い」と告げられたものの…やっぱりこの状況はどうしても心が痛かった。しかし、そんな姿が余計に夫の浮気に心を痛めている妻として広がってしまい、メリッサはより頭を悩ませることになるのだった。






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