マリアの日本語と優斗の英語
パーティーはAM4時でお開きだった。
ヒデキはナナミとナツキを車で送るため仮眠をとり、ヒデキの親友ヤスはDJのアキラがバイクのケツに乗っけていった。とり残されたマリアは、仕方なく優斗が蒲田まで送る羽目になった。バイクを駐車場に入れて駅までマリアを見届けて帰る予定だった。しかし、マリアは優斗の1メーター後ろをずっとくっついてきた。
「どこまで付いてくるつもりだ?」
優斗は怪訝そうにいう。
「……」
マリアは日本語があまりうまくない。優斗は歩みを止めてマリアの方をみた。
「アイアム…ノーマネー」
優斗は思いつく限りの英語でいう。マリアは「Oh!」といいジェスチャーを交えて
「マネーイズヒデキ。もらってまーす」
右手でエンのマークを出した。
「……。マジかよ。めんどくさっ」
優斗は呆れてつぶやいた。
「アイアム バックトゥホーム」
優斗の英語はマリアの日本語より辿々しい。しかしちゃんと伝わってる様子だった。
「ユート。イエ。かえります?」
マリアはなぜか目をうるませた。
「イエス。帰ります。サヨナラ」
そんなことにはおかまいなしに優斗は突き放す。
「ユート!ダメ!」
マリアは小走りになって優斗の前にきた。
「ワタシ。オカネ。モラッテマス」
マリアは必死にいう。
「金貰ってるからって言われてもなぁ〜」
優斗はさっき散々、マリアの身体を堪能した。確かに、優斗の少ない女性経験からすれば、マリアの身体は極上品だった。しなやかなくびれから突き出すぷりっとしたお尻や推定Eカップはあるおっぱい。顔だって優斗の好みだ。日本語がカタコトなところもかなり新鮮だったし、実際に、短い時間で何度もイカせて貰った。デートするよりも先に、やることをやってしまった関係性、しかも会話にならない言語の壁。ナナミに未練がある訳ではないが、デートに誘いたいのはやっぱりナナミの方だ。だが、優斗は仕方なくマリアを連れて家に帰ることにした。
蒲田西口のサンライズ商店街を抜けていく。土曜日の早朝とあって、ゴミが散乱しているだけでなく酔っ払いまでが寝ている。中国人娼婦たちは集まってなにやら騒いでいた。相変わらず酒くさい街だなぁとつくづく思う。
優斗はマンションの近くにあるローソンストア100でマリアにお茶とアイスを買ってあげた。
商店街の最後の十字路を左に曲がってすぐに優斗たちが住むマンションはある。
「マリア。入れよ」
ドアを開けてマリアにいう。
「ユート。アリガト〜!」
部屋に入るなりマリアは優斗を求めた。
「バカ。俺だけの家じゃねーんだぞ」
マリアはそんなことおかまいなしに優斗に抱きついて離れない。チュッチュしている。
優斗はマリアのキス攻撃を受けながらリビングルームまでおいやられた。アニキと母親はしばらくは帰ってこない。
「マリア。マッサージしてくれ」
「オーケー。エッチなのね」
「フツーのでいい」
「オーケー。マカセテ」
優斗は自分だけの部屋にマリアを連れ込んだ。