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波長

作者: 雉白書屋

(……お前、今、俺の心を読んでいるな?)


(えっ)


(えっ、嘘……え、あの、もしもし? でいいのかなこれって、あの、もしもし?)


(あ、ああ、もしもし……)


(あ、あの本当に……読んでます、よね? 今、俺、あ、僕の心というか頭の中を……)


(え、あ、はい。どうも……)


(あ、どうもです……あの、でもどうして、あなた、まさか超能力者さんですか?)


(いえいえいえ! 自分は至って普通の者ですよ。あの、そちらこそ超能力者の方では?)


(いやいやいや僕こそ、ほんと、凡人と言うかえへへ)


(ああ、え、じゃあ『俺の心を読んでいるな?』というのは)


(いや、やめて! 恥ずかしい!)


(ふふっ、わかりますよ。なんかそういうの、たまに頭の中で言いたくなりますよね)


(いや、もう、ほんともう……)


(はははは。いやぁ、かく言う自分もそう先程、それと同じような事を頭に思い浮かべてましてね。いや、あれです。ちょっと時間が空いたものですから、ははははっ)


(あ、そうなんですね。ははははっ)


(ふふふふ、いやぁ、お恥ずかしい)


(ははは、でも、そうなるとなんでこう、僕ら繋がったんでしょうか?)


(さあ、波長が合ったというやつなんじゃないでしょうか? ああ、前にネットの噂でありましたよ。繋がったっていう)


(ああ、ファミレスでってやつですよね。まあ、デマでしょうけど)


(そうですねぇ。まあ、それはさて置くとして、えっとあの、声が聴こえると言っても、なんか男か女かもよくわからないんですけど、お若い方でしょうか?)


(ええ、そうですね。二十代です)


(ほう、なるほど。じゃあバリバリのキャリアでもう働き盛りと言うか……)


(いやいやいや僕なんてもうはははてんでダメ人間ですよ下っ端も下っ端でへへへ)


(はははは。ご謙遜を。でもまあ、そう下っ端ね。まあ、俺はそこそこだけどな)


(え、あ、そうなんですね。へへへへ……)


(で、どうする?)


(え、どうとは?)


(そりゃ、せっかくこうして繋がったんだ。利用しない手はないだろう)


(あ、そうっすね。言わばこれ、テレパシーですもんね。何かこう、手品とか利用できそうな)


(ははははっ! そんなのつまらないだろうがよ)


(ええ、じゃあ、どうします?)


(そりゃお前、あれだろうが)


(あれって言うとあれですかね……)


(ははははは!)

(へへへへへ!)


(まあ、俺の口からは言えねえけどな)


(えーちょっとズルいですよぉ、あ)


(どうした?)


(いや、ちょっと外に出まして)


(ふーん? そういやこの有効範囲はどれくらいなんだろうな。同じ建物内にいるとは思うが)


(そうですねぇ、いてっ)


(どうした?)


(いや、ちょっと腕を強く掴まれまして、たくっこの野郎め……)


(大丈夫か?)


(はい、あ、でもそろそろこっちでちょっと色々あるんで、お答えできなくなるというか、これ、テレパシーってどう切ったらいいんですかね?)


(さあなぁ……うーん、まあ、別にもう少しだけいいんじゃないか? まだお互いが誰かわかってないしな)


(ああ、それもそうですね。相手が誰か分かればまた繋がりやすく、それで色々できそうですもんね、っとそろそろ)


(そ、計画をな。きっと俺らならうまくやれるさ。っと、こっちも仕事だ。お、来たな)


(うわぁ、陰険そうな顔)

(いかにも小悪党って感じの野郎だ)


「えっ」

「あれっ」


(あんた……)

(お前……)


「警部補……? 容疑者を連れてきましたが、どうしたんですか? 黙ったまま固まって。取り調べのほうをそろそろ……」

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