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王子の務め

神のみぞ知るか……

神とはあの爺さんのことか?


爺さん?

侮辱は許しません!


使いだけのことはあり従順である。

これくらい俺にも従順であって欲しいものだが。


ラン……


会った時とはずいぶん感じが違うな。

そうですか。一応メイドでございますから。王子様。

まあよい。


添い寝でもして差し上げましょうか?

お前はいびきをかきそうだから断る!

なぜ? そこまで嫌がるのですか!


別にお前は本気ではないだろ?

そうですが……


分かったんだよ。今日一日だけでも十分すぎるぐらいな。


鏡を見ましたね?

ああ、朝起きて本当に驚いたよ。どういう事なのか説明できるか?


王子ですから。それぐらいのルックスでないと逆におかしいのです。

王は村一番の女性と結婚します。その王の親も同様。ですからあなた様の顔が人よりもだいぶ優れているのは当たり前なのです。


そのうえ金も名誉もあり村人からも慕われている完璧な人間。人格も優れている?


そうです。もう非の打ちどころのないお方。それがあなた様なのです。


そうか兄と比べると劣っているように思うがな。

もともと野心がない第三王子ですから。ハイ。


まあそれを引き継いだ俺もさほど野心がない。

なぜなら王子で充分だからだ。これ以上何を望む? 王になり激務をこなすなどまっぴらだ!


いえ、さほど激務ではないと思いますが跡継ぎや内乱に目を配らなくてはなりません。特に跡継ぎですがそれはそれは過酷でございます。


心配するな王になどならぬ。

いえ、時が来ればなっていただく場合もあります。

いや、拒否する。

ダメです!


王子で充分ではないか。

ワガママを言わずに王子様。


まあ仮に王となったとしよう。

危険は増すのではないか?


当然。その時は覚悟を決めるのですね。

良い事もあります。

当然悪い事だって起きます。


王の仕事と言えば……

後は諸外国との駆け引き。しかしここ最近は平和が続いています。ただ不穏な噂もあります。第三勢力が力を付けてきているとのこと。


うーん。難しい事はこれくらいにして……


そうだ。いいお知らせがあります。

いい知らせだと?


王子の結婚。


俺が結婚するのか?

そうですよ王子。お相手はもう絞られてきました。

ほう。面白い。


まるで他人事のようだが決してふざけてなどいない。


村の娘三人と幼馴染の者。そして外国の王女。計五名が花嫁候補です。

後は王子の判断次第。明日にも五名の者がこの屋敷にやってくるそうです。


うーん。まだ結婚など早いと思うがな。

王様の命です。少なくても今年中に式をとの事。


やはり興味が無いな……


どうしたんですか? 太郎王子!

その呼び名はやめろ!


前世ではあんなに求めていたのに。

一般市民と王子とでは考え方も変わってくるのさ。


ずいぶん余裕でございますね。ボンクラ王子。

何か言ったか?


いえ続けます。

性格直ってないよ君。


続けます! この世界は主に三つの大陸から成り立っています。

この国はその東に属していて周りは海に囲まれており侵攻の恐れは少なく治安は安定しています。周辺には小国が点在しており貿易は活発に行われています。詳しい地図は大広間に飾られております。大雑把な地図はドリンクショップにもあります。


うん。うん。今日はそれくらいで本当に勘弁してくれ! 頭が痛くなってきた。


最後に一つ。自分はあなたがどうなろうと決して助けません。自分は神の使い。

様子を報告するのみです。それでも有効に使う事は問題ありません。メイドと王子でもあります。情報は仕入れてきますよ。それでは。


ランは去っていった。


今日は疲れた早く寝るとするか。


翌日


光が入る。


おはようございます。王子様。

早いね今日は。どうしたんだい?

お忘れですか。花嫁候補がもう間もなく到着するはずです。


あ! そうか。ランを呼んできてくれ。


深夜に降り出した雨が止み、雲間から太陽が見え隠れする。


どうする?


ランはノックもせず入ってくる。


太郎王子!

朝っぱらからつまらないことを言うな!


こっちだってあなたのおかげでえらい大変なんですよ。王子に構っているほど暇ではないっす。

口調が変だぞ。

へへへ。朝は元気にですよ。


まあいい。五人の花嫁が来る。俺はどうすべきだ。

決められないんですか?

だからまだ結婚など考えられんのだ。


すいません。

なぜ謝る?


私のせいですね。あなた様の心を惑わすいけない女。

前世ならいざ知らずランを意識したことなど無いわ!

無理をなさらずに。本心をぶつけてください。


俺は…… 分からん! これでどうだ?

合格でございます。無駄話もこれくらいにしまして。

お前が始めたのだろ。忙しいはどうした?


無視して続ける。


候補はそれはお綺麗です。涎を垂らすぐらいにね。気を付けてください。下劣な品性をさらけ出しては嫌われます。まあ相手もその辺の事は許すとは思いますが。何と言っても王子ですから。


心配だなあ……


それと。王様はこの催しに大変関心を示しています。どうか失望させないようにお願いします。メイド一同より。


王の命令は絶対だな。応えるのが王子の役目だろう。


誰を選ぶかもポイントとのこと。

プレッシャーをかけるなよ!


そうだ昨日言い忘れたことがありました。ゴールドカードでこの世界に来ましたよね?

ああ神様のお導きに感謝している。

もし必要になることがあったら探すといいです。


それは暗に探せと言う事か?


さあ。でもこの世界のどこかにゴールドカードがあります。噂や情報を集めて捜索に当たるのも賢いかと。


うむ。暇になったら探すとしよう。


王子様! 王子様!

教育係が駆け込んできた。


ランは姿を消した。


急いで着替えを行う。


どうやら五人の花嫁が到着したようだ。


                     続く


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