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王子たちのブランチ 豪勢なヘルシー料理に涙

第二章


神の言を信じ異世界へ飛んだ男。


夢?

拘置所の中?

真実は?


お目覚めですか。


うーん。眠い。まだ寝ていたいよ。

ダメです。王子。お兄様たちはお先に座っております。


うん。あなたは?

ご冗談を。私はあなた様の教育係。


俺はいったい何者なんだ?

またおふざけになって。第三王子ではございませんか。


そうか。して名前は?

ナリット様ではございませんか。

ナリット? 変な名前だな。王子とはどういうことだ?

朝起きて別人にでもなられたのですか?


教育係のリアーンは戸惑っている。


戸惑っているだけならいいが変に疑われては面倒だ。

とにかく様子を見よう。


第三王子のナリットとして振る舞う。


分かった。朝食にしよう。


朝食? いえブランチでございます。

俺は王なのか?


何を言っておられるのや。ブランチとディナーに皆が顔を合わせるのが決まりでしょう。忘れたのですか?

慣れぬものでな…… いや何でもない。


これ以上疑われ訳にはいかない。どうやらこのリアーンは爺さんの言っていた使いではないようだ。

早く使いを見つけ全てを把握しなくてはならない。


ふあーあ。


お急ぎください。


うーん。


ナリット様!


どこだっけ?


もう!

こっちです。


ダイニングへ。


他の者はもう揃っていた。


皆がこちらに注目している。

その視線がつらい。


兄二人が遅いと睨みつけている。


おい、ナリット。しっかりしろ! 

兄さん。ナリットに何を言っても無駄さ。


だが自覚を持ってもらわんと困る!

そうですね。もう結婚を許される年齢。甘えは許しませんよ。


仲の良さそうな兄弟。

弟の不手際を意地悪そうに糾弾するのはいつもの流れなのか?


あの……


良いから早く座れ!

着席するように促す。


仕方なく無言で席へ。


誰だこいつら? 最初の奴は上の兄なのだろう。しかしどう見ても異国の者ではないだろうか? 第一王子か。もう一人は俺の嫌いなタイプ。第二王子なのだろう。


とにかく大人しく従っておこう。


ヨーク一族に幸あれ!


食事の前に皆で唱える。


ヨーク王国に繁栄あれ!


復唱してようやく食事にありつける。


拘置所の飯はお世辞にもうまいとは言えない。食事環境も最悪。ルームメートにも恵まれず食欲もあまりなかった。間違いなく三キロは減っただろう。


今はどうだ?


テーブルに真っ白なクロスが引かれナイフとフォークが並べられている。


朝から豪勢なステーキを期待する。


涎が出るのを必死にこらえる。


周りを見渡す。


緊張を悟られないように自然に振る舞う。


メイドが前菜のサラダを運んできた。


やった! 待ってました。


がつがつするのは良くないと分かっているがついつい癖でサラダを掻きこむ。


続いてスープ。

かぼちゃのスープは口に優しい。温度が一定に保たれている。


パンをかじりスープを完食する。


その間誰も私語することなく館は静けさが保たれている。


ついにメインディッシュの登場。


待ってました!

 

心の中で叫ぶ。


タレのような液体が添えられていた。


どれどれ。

うん?

閉口する。


兄二人は黙々と食べ進めている。


メイドに確認。


メインディッシュはこれ? だけか?


目の前にあるのはキュウリとニンジンにカブ。変な種。

生でそのまま置かれている。

みずみずしいのはいいが野菜は嫌いなのだ。


おい、いい加減にしろ!

どうされましたか?

肉は? ステーキは? ムニエルは? ハンバーグはどうした?

何を庶民のような事をいっておられるのです?


兄たちが笑い出した。


まったくこれだから自覚がないと言われるんだ!

ヨーク家にお前は要らない!

この恥さらし!


失敗したのか?


初日からイメージが悪くなってしまった。


食事を終え村を回る。


お付の者に話を聞く。


ははは。どうされたんですか王子? まるで記憶を失ったような振る舞い。私どもも心配していたんですよ。


いいから教えろ! なぜ変なものを食わすのだ?


もう分かりました。こうでしょう。王様に村の事を良く知れと言われたのでしょう。だから……


分かるか?


急に変わるから困ります。庶民が食うようなステーキやハンバーグ。ムニエルなんかもヨーク家では一切食べません。なぜなら体に悪いから。すぐに太ってしまいますし味付けもかなり濃い。ヨーク家は健康に気を使って野菜中心の料理となっております。


健康? 俺はまだ若い!

超高級な野菜料理はお口に合いませんか?

どうだろう。しかし肉を食べなくては偏ってしまう。


それはあの種で補えるのです。

あれか。あのクソまずい種がいいのか?


はい。三粒も食べれば問題ないです。

そうか。ならば六つも食べれば肉の代わりになると言う事か?

二回に分けてください。いっぺんに食べては体に悪いです。


だがやはりあれだけでは足りない。

お前たちも同じものを食わされるのか?


とんでもない!


あの粒はそれはそれは貴重なもので体に良いだけでなく大変高価な品です。

私どもの口に入るなんてありえません。

我らには我らの食事があります。


そんなことまでお聞きになさるんで?


ははは。

何とかごまかす。


着きましたよ。ナリット様。

おおここか?

え?

いや。いや。何でもない。


最初の家に到着。


話を聞く。


                  続く




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