新世界へ
我らの命運は尽きるのか?
王様! お願いします!
私からもお願いします! 父上!
お願いします!
ランも続く。
うむ。そこまで言うなら…… その程度の願い叶えてやるか。
少し待て!
メイドに持ってこさせる。
これでよいか?
金色に輝く謎のカード。
ゴールドカードが一枚。
王からツンデーラに手渡される。
こうしてようやくツンデーラのもとに大事な大事な家宝が返された。
王様! ナリット王子と……
よかろう。二人で別れを惜しめ!
他の者も最期だ。
最後の時間をくれてやる!
少しの間自分と向き合え!
鐘が鳴り次第決行する。
以上!
王は椅子に戻り鐘が鳴るのをじっと待つ。
ナリットこれ!
よし! よくやった!
さすがは我が妻!
ナリット!
ツンデーラ!
ツンデーラの緊張が解け涙があふれる。
大丈夫だ。これで助かる!
信じていいの?
ああ。全て任せろ!
抱擁。
ナリット!
ツンデーラ!
再び抱擁。
ツンデーラはうれし涙を流す。
ツンデーラ……
言葉が詰まる。
傍から見れば最後の別れを惜しんでの悲しみの涙に思えるだろう。
王以下誰一人疑わない。
急いで!
王子! 太郎王子!
ランが睨む。
ほら。ぼやぼやしないの早くやっちゃいなさい!
時間が無いのよ!
ありがとう! ツンデーラ! ラン! それから皆!
ツンデーラと共にゴールドカードを空に高々と掲げる。
ゴールドカードから光が漏れ朝日に反射し
一瞬で神々しいほどの輝きが辺り一帯を包む。
何だ?
何が起きた?
いや何が始まるんだ?
王以下兵士の面々は現実を受け入れられずに慌てふためく。
王様!
儂にも何が何だか……
遠くの空からか鐘の音が響いた。
ゴーン
ゴーン
決行の合図。
しかしそこにナリット王子とツンデーラの姿は見当たらなかった。
一体どこにいってしまったのだろう?
突然の消失に現場は混乱。
おい! 探せ!
どこにもいません!
そんなはずがあるか!
人が消えるなどあり得ん!
兵士は辺り一帯を捜索するが手がかり一つ見つけられない。
それもそのはず。
この世界にはもう存在しないのだから。
ナリット王子とツンデーラ。
新たな世界へ旅立つ。
太郎王子の旅は始まったばかりだ。
完
おまけ。
ゴーン
ゴーン
光り輝く謎の現象に右往左往する兵士たちをよそに逃走。
おい! そっちだ!
逃げたぞ!
もう王子ったら。もう少し時間を稼いでくださいよ。
女が一人逃げたぞ!
追え! 追え!
追跡者を振り切る。
もう少し!
あともう少し!
よし!
おい止まれ!
まずい追いつかれる。
止まれ! 手を上げろ!
追いつかれた。
あと少しだと言うのに。
振り向いて両手を上げる。
よしそのままこっちまで向かって来い!
分かったわよ。
投降。
と見せかけ敵を油断させたところで全力で駆ける。
待て! ふざけるな!
ハアハア
ハアハア
ワープゾーンに辿り着いた。
フウ― もう!
疲れた……
お帰りラン。
自称神の家。
任務完了しました!
ご苦労だったなラン。
少し休め!
はい。
今回の働き見事だった。
引き続き太郎王子の世話を頼む!
分かりました!
うんうん。
太郎王子は大丈夫でしょうか?
なーに。心配することもない。
儂の思っている以上の速さで駆け抜けた。
信じられないような逸材。
儂の見立てに間違いはないと言う事だ!
そうでしょうか。少々心配なのですが。
まったくお前と言う奴は。
彼も立派な王子。
我らの期待に応えてくれるはず!
次は確か……
第三世界か?
ふふふ。それは後のお楽しみだ。
はっはは!
新世界へ。
太郎王子と七人の旅人 第一章 太郎王子と五人の花嫁 ファンタジー編
<完>
第二章に続く




