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真相

いいかい。ツンデーラ……

語り始めた。


昔の記憶と今との関係を整理し分かりやすく説明してやる。


真相。


二週間以上前のある夜。


風呂場にて。


うーん気持ちいい。

兄上と風呂とは何年ぶりでしょう?


ナリットそうはしゃぐな。もうお前も子供ではないぞ!

それは心得ております。


うーん。それにしても気持ちいがいい。


二人で風呂に浸かる。

別に習慣でもない。

一ヶ月に一度交流する為にと言うわけでもない。


これは第二王子の呼びかけに応じたに過ぎない。


お前と言う奴はな……

メイドに聞いたがしたたかだそうだな。

自分がこの国の王になると。


そんなこと一度も考えたことなど……

よい。誰だってそう考える。一度や二度ならそこら辺の子供でもな。


兄上?

お前が王の座を狙うのもいい。


しかしそれもこれまで。

ううん? どういうことでしょう?


お前には行ってもらいたいところがある。

それも長期だ。

何年かかるか分からない。


これは王命だ!


王命? ですか……


そうだ。だから絶対だ。分かったな?

はい。心得ております。兄上。


お前ももう子供ではないと言ったな。

はい。それで……


王がお前の結婚相手を探している。

父上が?

その者と一緒に異国の地に旅立つのだ!


これはまだ不確かだ。

しかし戦況が悪化すればすぐにでも赴いてもらう。

お前はそこでヨーク一族の名に恥じぬように精進してもらいたい。


いきなりですね。


ああ。昨晩その話が出た。

本来これは父上からお話があるはずだがまあめでたい事でもあるから先に伝えた。

心の準備ぐらいしておけ。


だから一緒に風呂へ?

ああ。兄として少しぐらいはな。

秘密だぞ。誰にも口外するな!


兄上との秘密の共有。

少しだけ興奮。


よし背中を流してやる。

小さいころみたいにな。


しかし兄上……

遠慮するな!


そうではありません。本当によろしいのですか?

おいおい。兄弟の仲を深めようってんだから気にするな。


お前は気にしすぎだぞ!

別に遠慮など……


うん? はっきり言ってみろ!

本当によろしいのですかこのままで?

どういう意味だ?


王の気持ちは痛いほど分かります。

王位を譲るおつもりです。


それは兄にと言う意味か?

ええ、私が邪魔になったのでしょう。


争いは避けたいですからね。

来年には少なくても退位し第一王子が後を継ぐでしょう。


まさか……


私としてももう少し第三王子として何不自由なく暮らしたい。

ここに留まりたい。

それが偽らざる自分の気持ちです。


私が異国へ赴けば一気に加速しますよ。


しかしそれには兄の第一王子のお相手が決まらなくては……

甘いですよ兄上。相手などもう見つけているはず。


王は何か言ってませんでしたか?

そう言えば…… だが……


お前の花嫁候補に一人。いや待て!

誰とは言ってなかったが決してナリットよ。お前が選ばない人物。


紛れ込ませて慣れさせる。

お披露目だとか冗談を言っていたが。

まさか本気なのか?

あのように幼き者を……

確かに家柄は申し分ないが……


兄上…… もう遅いかもしれませんね。

ナリット!


私は兄上の味方です。

兄上が後を継ぐのにふさわしい。

どうでしょう。全て私に任せると言うのは?


任せる? 何をだ?

それはもう分かっているでしょう。


ふふふ。我が弟ながら頼もしい限りだ。

まったく末恐ろしい。


裏切るなよ!

そちらこそ。


決行はそうですね。出立式にでもしましょうか。

ああ任せた! 好きにやってくれ。


それと兄上。この話は一切しない。

実行日までには必ず計画をお伝えします。

もちろん誰かを通してですが。心配無用。

兄上はいつも通りで。

仲が疑われては本も子もありません。


よし分かった。裏切るなよ!


第二王子は姿を消した。


おい!


すぐにお付の者が駆け寄ってくる。


カップ。手配を頼んだぞ。

お任せください。ナリット王子。


ふふふ。ようやく巡ってきたチャンス。

逃すわけにはいかない!


カップはその日以降姿を見せなくなった。


奴を唆し隙を突いて王座に着けばいい。

ふふふ。はっはは!


そろそろ上がるか。


兄弟風呂も悪くはない。


兄上。心配なさらないでください。

全て私にお任せください。

はっはは!


出立式が待ち遠しい。


現在。


ナリット! あなたは一体?

済まない。ここまで隠していたが俺はここの世界の住人ではない。

えええ?


そしてそれはお前もだ。ツンデーラ。


私がここの世界の住人じゃない?

そんな馬鹿な? だれがそんなことを信じる訳?


太郎王子……


俺達は第一世界からやって来た。

お前が痴漢どうこう言っていたのは俺だ!


王子が痴漢?


いいえ。彼は王子なんかではないわ。

ただの太郎。

名もなき太郎。


そしてあなたは彼の被害者。


たぶん。運命が二人を引き寄せた。

そう解釈するのが自然かしら。


あなたは誰? どうしてそんなことを知っているの?


私は……

本当は教えてはいけないんだけど太郎王子の案内役。


第一世界に戻るには?


それは私にもわからない。

戻れるのかも含めて。


神のみぞ知るよ。


俺もあの爺さんに唆されてこの世界にやって来た。

君も同様だ。

信じられないかもしれないが本当のことだ。


それじゃあ……


ツンデーラは理解が追い付かず頭を抑える。


怖がらなくていい。

一緒に次の世界に行こう。


新世界へ!


新世界? 次って何?


第三の世界。


俺も君も異世界を旅する時の旅人さ。


何だかよく分からないけどナリットについて行く!

よし。


次の世界に行くには……

分かった!


よしいいぞ!


作戦開始!


ひと眠り。

あっと言う間に朝になった。


                続く


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