表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/29

囚われた王子 脱出作戦

王は立ち去った。


王様……

なぜ?

父上……

信じてください!


虚しく響き渡る。


王はすぐに第二王子を連れて戻ってきた。


こ奴がその愚か者だ。

兄殺しとは見損なったぞ!


済まないナリット……


俯いたままぼそぼそ話し出した。


兄上! なぜそのような暴挙に出られたのですか?

お前の言う通りに動いた。それなのに。それなのに。

はああ?


許してくれ。このような不甲斐ない兄で許してくれ!


こ奴はな自分の欲望の為に兄を殺させた。

それはお前にも言える事だ。ナリットよ!


父上は勘違いをされている。

確かに次期国王の座を狙って兄上が第一王子を亡き者にしようと画策したのでしょう。ですがそこになぜ私の関与があったと断定できるのです?


だからメモがお前の部屋から見つかったと言っておるであろう!


私には身に覚えがありません!


認めるんだナリット!

そうすれば命だけは助けてやる!


甘いですよ国王。このナリットを生かせば再び災いをもたらすでしょう。


兄上!


俺はお前に唆されたんだ。

だから俺は悪くない!


兄上何を? いまさら何を言っても遅いですよ。


無実だ!


それはこちらです。


兄上は捕まったのでしょう?

あの謎の軍隊を率いたのは兄上だ!


止めよ! 見苦しい。


国王が止めに入る。


擦り付け合うとはそれでも王子か?

冷静になれ!


とにかく詳しく話せ! 冷静にな。冷静に。


この計画を持ち掛けたのはナリットだ。

出立式を逃せばもうチャンスは無いとか言ってな。

俺は従うしかなかった。


覚えがありません!


いつですか? 

二週間前ぐらい。


悪いですが最近の記憶しかありません。


都合の良い事を抜かすな!


本当です。


部隊のリーダーに指示を送ったのは?

それは俺だ!


ほら兄上が怪しい。

私はここ最近誰にも何も指示してませんよ。

どうやって動かすと言うんですか?


王子同士の罵り合い。

真相は分からぬまま?


やはり兄上の妄想です。

私は無関係だ!


ふふふ。一昨日の晩に訪ねてきたであろう?

それは……


その時ナリットがゴーのサインを出したじゃないか!

あれはその……


あの日なぜわざわざ俺の部屋に来た。

用が無ければ来ることもないだろう?


確かにそうじゃな。ナリット?


あれはランがどうしてもと言うから。


そのランは今どこにいる?

姿を見かけないが。

まさかもう始末したのか。

さすがナリット。我が弟よ!

抜け目がない。


いや…… そのランが行方不明で……


事実そうなのだがタイミングが悪い。

ランはどこにいるのやら。


とにかく俺はナリットの指示に従って動いたまで。

決して本意ではない。

ナリットの計画がどこまでだったかは知らないがある意味犠牲者だ!


何を言ってるのですか兄上!


呆れるばかり。


兄上が変な気を起こさなければ……

ナリットが唆さなければ……


兄上!

ナリット!


双方そこまで!


これ以上の罵り合いは見ておれん!

二人とも反省するつもりも無いようだ。

重い罰が待っている。

処分は追手沙汰する。


そう言うと王は兄上を連れて出て行ってしまった。


再び訪れる孤独。


ランは今どうしてるだろうか。

ツンデーラも心配だ。

招待客は無事か?


一人になりいろいろと考えてしまう。


悪い方向に物を考える。


どうしたものか?


とにかくこの状況を改善しなくてはならない。


焦っても仕方ないか。

ひと眠りしよう。


昼過ぎ。


良い気持ちで眠っていたところを起こされる。


もう……


入れ!


お仲間ができた?


早くしろ!


うん? 

王子…… 来ちゃった!


ツンデーラ? おお、無事だったか。

ごめんなさい。私のせいかも……


いつになく弱気のツンデーラ。

らしくない。

元気いっぱいの彼女はどこへやら。


何かあったのか?

それが…… 別に……


いいから話してみろ!


あなたと結ばれた。

儀式は終わってるの。

もう二人は夫婦よ。


うん。うん。何となくしか分からない。


私は王様に懇願したの。

出来心。悪気はないって直談判したの。

それが王の逆鱗に触れたみたい。


言い方に問題がありそうだが。続けてくれ。


王子が王子ならお前もお前だって……

夫婦で仲良く居ろってさ。

それでここに。


まさか彼女まで…… いやそれは無いか……


楽観視など出来ない。


ちょうど退屈していたところだ。

歓迎するぞ。


王子!


もう王子ではない。

ナリットだ。


じゃあ。ナリット。

改めてよろしくね。


ああ、こちらこそ。


ひとまず落ち着きを取り戻した。


ツンデーラ!

他の者をは無事か?


ええ、招待客に危害は加えなかった。


イーナイナ達は全員無事。

もう帰ってしまったけど。


ならいい。


ナリット!


俺達もここから脱出する方法を考えよう。

まずこうしよう。


うんうん。

分かった。やってみる。


おい誰か?


うん。何だ騒がしいぞ!


看守は眠そうに欠伸を一つ。

集中力が切れている証拠。


チャンス。


ツンデーラがお腹が痛いと言っている。

何とかしてやってくれ!


ふん。その手には乗らない。


しかし苦しそうだ。


ツンデーラはお腹を押さえ懸命に訴える。


お願い! お医者様を!


仕方無いな。まったく!

大人しくしてろよ!


持ち場を離れた。


ラッキー!


しかしここで行動は起こさない。

次のチャンスを伺う。


ほら連れて来たぞ!

 

医者が息を切らし駆け込んできた。


どうしました。見せてください。


医者は優しく対応。

患者の不安を抑えるためだ。


そこをどいてくれないか!

患者が落ち着かない。


看守は渋々立ち去る。


牢は開かれた。

後は逃げるだけ。


しかしどうやって?


おそらく見張りはそこら中にいるはず。

見つからずに逃げ出せるのか?

果たしてうまくいくのか?


不安はあるがもうこれしかない。

この作戦を失敗すればもう次は無い。


慎重を期す。


うーん。どこも問題なさそうだが。

具体的にどこがどれくらい……


ガン!


医者を眠らせ準備完了。


お爺ちゃんごめんね。


行くぞツンデーラ!

急ぐぞ!


分かったわ。


腕を取って走り出す。


運よく見張りが手薄だったため外に脱出できた。

おそらく今度のことで手がいっぱいで人員が割けなかったのだろう。


とにかく助かった。


外へ。


                       続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ