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襲撃

最後に隊長の演舞で締める。


獣を槍で突き仕留めるまでを再現した演舞。

前夜祭の為に新しく作った自信作だそうだ。


隊長の力強さが伝わってくる。


よい。実に素晴らしい。

王は上機嫌。


よし俺も!


昼に披露した演舞は無理でも新たに一人で演じる事は可能だろう。


兄上たちや隊長に応えなくては男ではない。


盾と剣の準備にかかる。


隊長の演舞はまだ中盤。

演舞を終えたところで舞台に上がればいい。


予定の演目にはないが王たちにも楽しんでもらえるだろう。


酒を一口つけ舞台へ。


その時だった。


遠くの方から微かに聞こえる嫌な音。

それが何なのか最初は分からなかった。


耳鳴り?

聞き違い?

暗示?


前夜祭の高揚感に惑わされ危機を察知できなかった。


迫る最大の修羅場。

感覚は鈍ったままだ。


大勢の声。

徐々に大きくなっていく。

近づいてくる音。


気づいた時にはもう遅い。

手遅れだ。


異変。


ようやく異変を察知する。


音と共に姿を現した謎の集団。


何だこれは?

どういうことだ?

何がどうなっている?


異変にいち早く気づいた何人かが慌てふためく。


どうした?

落ち着け!

聞こえないのか?

何だこれは?


パニックになった観衆。

このまま放っておけば大変な事になる。


音の正体を探る。


この音の正体は?


大勢の軍隊が馬に乗り周りを取り囲んだ。

十五人余りの軍勢。


歯向かう者は容赦せん!

大人しくしていろ!

そうそれでいい。


急襲された為親衛隊は機能せず。

隊長も演舞に集中していた為どうすることもできない。


王だ! ヨーク王を捕えよ!

指示が飛んだ。

やはり目的は王なのか。


ナリット! 王様を頼む!

隊長はそう言うと舞台を飛び出し槍を持つ。


動くな! 今動けば招待客に危害を加えるぞ!

クソ!

どうすればいい……


一瞬の隙を突かれた襲撃。


さっきまで王に張り付いていた隊長ら親衛隊が演舞の為に警戒を解いた。

その隙を突いて謎の軍隊が攻撃を仕掛けてきた。


目的は国王だ。


どのような勢力か?

見当もつかない。


しかし演舞で手薄になることを事前に知っていれば容易い。


敵は内部にいる。

首謀者はこちら側の人間。

少なくても協力者がいねばおかしい。


隊長に言われるもなく王を連れて逃走。


待て! そこの者。動くな!

こっちには人質が大勢いるんだぞ。


招待客を人質に取るとは何と卑怯な!

これも作戦の内だ。


もう一度言う。

大人しくしろ!

素直に従うんだ!


知ったこちゃないね。

お前らの狙いは王だろ。

簡単に渡してたまるものか!


ふふふ ははは!


せいぜい吠えるがいい。

仕方がない我らの力を見せてやろう。


お前らは何者だ?

名乗るわけにはいかない。


しかしこの作戦が成功し目的を果たしたら教えてやらんでもない。

はっはっはは!


名を名乗らんとは情けない奴らだ。


それくらいでお願いしますよ王子。

ふふふ。ナリット王子。


敵はこちらを調べ尽している。

下手は動けない。


父上こちらです。

腕を掴む。


王を連れとにかく時間を稼ぐ。


やれ! ひっ捕らえろ!

単純に数で攻めてくる。


父上お逃げください。

ナリットよ任せたぞ!


すぐに追いつかれる。


剣でガードし演舞で見せた通りに切り刻む。


怯む敵。


一瞬の戸惑いを逃さずに二人目三人目を倒す。


馬鹿! 一人ずつ戦ってどうする。

囲むんだ。複数で取り囲め!


父上お逃げください。

早く!


まずい。進路を塞がれた。


お戻りください!

こちらです。


敵は攻撃をしてこない。


充分に取り囲んでから合図を待つ。


慎重というよりも余裕。


今だ!

リーダーの一声で一斉攻撃。


まずい!

王様逃げて!


王を力の限り突き飛ばす。


バランスを保ち敵のいない方へ走る。


さすがは王。慣れている。

難なく逃げ切ったか?


邪魔者から片付けろ!


二人同時に襲ってくる。


手加減は無用。

明らかに劣る方に剣を振るう。


一撃で倒しもう一人と対峙する。


うおおお!

迫力はあるが動きが単純。


剣でガードすることもなく横に素早く動く。

相手はもうついていけない。


どこだ?

こっちだ愚か者!


振り向きざまに一太刀。


これで五人目。


残り十人。


波状攻撃を喰らう。

ガードするのがやっと。

まともに攻撃もできない。


あまりにも不利だ。


逃げ出す。


待て!

大人しくしろ! 国王の命がどうなってもいいのか?


捕まった?


肝心の王が敵の手に渡ってしまってはどうすることもできない。


大人しく武器を捨てろ!

降参するんだ!


やっちまわねいんでリーダー?

ナリット王子には手を出すな!


命令だ!

ちぇっ! 誰の命令だか。


もう一度言う! 武器を捨てろ!

手を上げて大人しくしろ!


意外にも敵は紳士的だ。


ここまでよくやった。王を守れなければ意味がない。

武器を捨て手を上げる。


はいはい。ご苦労さん。


武器の回収にかかる。


気を抜いている。

今だ!


武器の回収に来た下っ端を蹴り飛ばす。


そして刀を掴む。


おっと。そこまでだ。


後ろに気配。


御免!

何を……

ナリットは意識を失った。


あーあ。また一人やりやがって王子様。

こっちの予定が狂うから勘弁して欲しいぜ。


ど…… どういうことだ?


遠のく意識の中声が耳に残った。


王様!

第一王子が……


ナリットの運命やいかに?

王は無事なのか?


                   続く



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