マリーゴールド
この間まで別の小説を書いていたのですがなんだか自分の書きたいことが思うように書けず
心機一転し、また違う雰囲気の小説を書くことにしました。
私なりに社会の在り方を表現しています。
ぜひ一読下さい。お願いします。
誰か楽に氏ねる方法と誰にも迷惑かけずに氏ねる方法ご教授ください。(笑)
松谷すみれ(24)はツイッターだけが自分の居場所である。
食品会社に入社して早2年、上司のセクハラ、パワハラを受け自殺志願者となるまでに追い詰められた。
親に負担をかけまいと会社を辞めることができず、死ぬこともできない。
しかし誰にも相談できず、行きついたのはツイッターだけだった。
スミレ:ああ上司さっさとドブに溺れて死なねえかな
スミレ:わたしと一緒に上司も死ねばハッピーエンドなんだがwww
kaedeさんがあなたのツイートにいいねしました。
同じ悩みを抱えた日本のどこかに住むフォロワーのいいねが唯一の救いかもしれない。
私を責めたり、むやみに干渉したりしない。なんて生きやすい世界なんだ、と油断すれば
涙が頬を伝いそうになるくらい私は弱っている。
kaedeさんからメッセージが届いています
一件の通知がスマホの画面上に映る。かなり長くてかしこまった文面、そしてとても深刻そうな内容がそこには綴られていた。
「スミレさん。こんばんは。実はかなり前からツイート拝見させてもらってます。僕も会社でいろいろあって自殺を考えています。ただ僕も家族のことなどを考えるとまだ踏み出せない状況にあります。もし今度時間があればお食事でもどうですか。たくさん話したいことがあります。時間があればお返事お待ちしております。」
「メッセージありがとうございます。申し訳ないのですが会うことはできません。ですがこの場で相談するのは大丈夫ですよ。気軽に話しましょう。」
顔も年齢も居住地も性別もわからない人と会うなんて気が引けると、冷静に言葉を選んでメッセージを返した。ツイッターは何も知らないからいいのだ、それを忘れてはならぬとブツブツと独り言を言いながらスマホを机上に置き、風呂場へと向かった。
何もかも忘れられる束の間の入浴タイムが癒しだ。ラベンダーの入浴剤の匂いが別世界へと誘ってくれるような気がして、好きだった。このまま気づけば天国に召されていないかと思う。
「あれ、牛乳切らしてたっけ」
風呂あがりの楽しみが自分のせいで消えた。この悲劇はツイートのネタにするしかないと
机上のスマホを手に取った。
kaedeさんからメッセージが届いています
「僕の名前は石井楓。年齢は26歳。都内の○○カンパニーに勤めております。△△区に住んでいて最寄駅は□□駅です。ちなみに顔写真を見てもらうとわかると思うのですが男です。もしスミレさんがネットの人と会うのに抵抗があるというのでお断りされたならと思い僕の自己紹介を送ってみます。これでも会えないのなら潔く諦めます。」
いとも簡単に自分の個人情報を私に提示してきたことに驚きを超えて恐怖を感じた。
しかしこの人はなんとなく信用できる人ではあるとそう感じた。根拠はないが。女の勘というやつか。
そして文章のあとに添付された本人の顔写真が俳優の成田凌佑に瓜二つだった。自分が単純すぎて嫌になる前にメッセージに返信をした。
「信用することにします。」
何通かやり取りをした後、会う場所と日程を決めた。
その日までに新しい服をKOKOTOWNで調達した自分は、きっとかなり浮かれている。