【ゴールデンウィーク合宿 2日目】
合宿2日目の今日は1日中チームに分かれて練習をすることなっている。
ゲームで予め内容は知っていたとはいえ、自分が実際経験するとなると身体が辛い。
1日中練習とか地獄だろ。
でも明日は本番があるからなんとしても今日1日で覚えなくてはいけない。
デフォルトの振り付けを昨日と午前中の練習で覚えることが出来た。
午後からはアレンジを交えたものを重点的にやって、1度衣装を着てリハーサルすれば終わりだ。
誠「ここの振り付けなんだけど、せっかくハモリで歌うから三角形に動いて1人の時と2人で歌う時に歌ってない方は停止してメリハリつけたらいいと思うんだけどどうかな?」
翼「採用。そしたら最初は横1列になってて、月見里・誠・俺の順でパート歌い終わるから、月見里をセンターにして三角形になればいいか」玲「えっ!?私センターなの!?」
翼「センターは誠にしたいところだが、パート的に月見里が適任だろ」
玲「まぁ確かに」
本当は湊が歌ってるところだしな。
そりゃあセンターになるわ。
誠「玲華ちゃんがドレス着るならバランス的にもいいと思う」
翼「そうだな。じゃあ軽く歌いながらやってみるか。ステージリハの時間近いし」
玲「はーいじゃあ曲流すね」
俺をセンターにして少し後ろの左右に誠と翼がスタンバイする。
玲「Three」
誠・翼「そばにいて」
誠の手を取り少し絡むようにターンして位置を移動させる。
この時に軽く肩を組むから素早くやらないといけない。
誠「Two」
玲・翼「離さない」
次は翼の手を取って一度センターまで一緒に行く。
そのあとすぐにターンしながら定位置に戻って誠と背中合わせになる。
翼「One」
玲・誠「愛してる」
サビの部分では俺が再びセンターに戻るから誠から翼とエスコートされる。
誠「今の感じいいね」
翼「そうだな意外と上手く立ち回り出来たし」
玲「ターンしすぎて目が回りそう」
翼「ゆっくり回ってるから回らないだろ」
玲「気持ち的な問題なの!」
誠「玲華ちゃんはターン多いからね」
翼「社交ダンスなら仕方ないだろ」
玲「本番だとヒールの靴とか…辛い」
誠「一緒に頑張ろう。俺たちもサポートするから」
誠の笑顔に押し切られた俺は泣く泣くとヒールを履いて踊る羽目になった。
そのあと無事にステージリハを終えて明日の発表会の為早々にレッスンを切り上げた。
早く寝たいところだが好感度アップの為に、ゲームにあったラブハプニングを起こさないといけない。
とりあえず部屋に突撃だな。誠と翼が泊っている部屋のドアを叩く。
誠「はーい」
誠の声が聞こえるとドアが開いた。
誠「あれ?玲華ちゃんどうしたの?」
玲「明日の事で相談あったから来ちゃった」
翼「来ちゃったっておい。女の自覚なさすぎだろ」
玲「そういうもんなのかな。お兄ちゃんとかお兄ちゃんの友達の部屋とかよく行くよ」
誠「あれ玲華ちゃんってお兄さんいたんだ。せっかく来てもらったんだし聞くよ。狭いけどどうぞ」
玲「うん。ありがとう」
誠に案内されて部屋の中に入る。
スチルで見た光景だ。
誠「それで相談ってどうしたの?」
玲「相談っていうよりも明日頑張ろうという意味込めてプチパーティーやりたいって思ってお菓子とか持ってきちゃった」
翼「この時間に食べると太るぞ」
玲「1日ぐらいなら大丈夫だよ」
誠「せっかくの機会だしお茶会しようか」
翼「わかった。飲み物用意してくる」
玲「ありがとう」
翼は少し不満そうだが誠が乗る気の為、渋々飲み物の用意をし始めた。
本当に誠に甘いよな。
従者っていうわけでもないのに誠の世話してるし。
さすがファンの中で忠犬って言われるだけのことはある。
翼「ダージリンでいいか?」
誠「うん。ありがとう」
玲「えっ!?麦茶とかじゃないの?」
翼「お茶会って言ったら紅茶だよな?」
誠「そうだよね。もしかして紅茶苦手だった?」
忘れてたー。こいつらブルジョアだからお茶会=紅茶って思っているのか。
ってそれは偏見すぎるか。
でもこいつらゲームの中の人だもんな。
そういう設定にされていてもおかしくはない。
それに誠の好物は紅茶だしな。
べつにそこまでクセが強くなければ飲めるはず。
つか俺あんま紅茶なんか飲んだことなけど大丈夫か。
午前ティーのミルクティーとかしかないぞ。
とりあえずミルク貰おう。
玲「ううん。そんなことないよ。ミルク貰ってもいいかな」
翼「机の上においてあるボックスに入ってる」
玲「了解」
机の上に置いてあった可愛らしいボックスを開けるとミルクと砂糖が入っていた。
俺がこの世界に来てからファミレスとかで見たこともないものだから、おそらくいいところのミルクと砂糖なんだろう。
まぁあんま知らないけど。
誠「なんだかこういうのいいね」
翼「普段からわりかしご飯食べに行ったりしてるだろ。場所が店なだけで」
誠「そうなんだけどさ。前までは翼と2人きりだったのに今では玲華ちゃんがいて当たり前になってきたね」
玲「2人といるの面白いから好きだよ」
翼「あのさ、お前あんまそういうこと言わない方がいいぞ」
玲「え!?なんで!?別に普通に思ったこと言っただけなんだけど」
誠「俺も玲華ちゃんのそういう素直なところ好きだよ」
玲「ありがとう」
翼「はぁー。お前らはそういうやつだよな」
翼は諦めきったようにため息を吐いた。
ちなみに狙って意識的に言っているからな!
勘違いさせる為に!
そんな無意識で言うわけないだろが。
こちとら現世では好きなんてうかつにも口走ったら死ぬ気でケツを守らないといけない状況だったしな!
マジで信じている奴に友人として意味で「好き」だと言ったら勘違いされて大変だった。
学校一イケメンと言われていたから、男に手出さないだろうと思っていたのに恋愛の意味と思われた。
しかも生徒会長で金持ちというハイスペックで生徒からの人望も厚く、ミスターコンでは俺と同じく6年連続優勝しており囲いぶりが半端なかった。
あとから聞いた話によると中学1年のミスコンで俺の姿を見て一目惚れしたらしい。
中学2年の時からクラスが一緒になりそこから5年間ずっと一緒だった。
その影響でめちゃくちゃ仲良くなり親友だと思い込んである日、友人としての意味で「好き」と言ったら痛い目をみた。
相手の大学はアメリカで最高峰のところに進学したため、物理的に離れたことでなんとか逃げる事が出来た。
って俺の現世での話はどうでもいいか。
あーてかやべぇねみぃ。
歯を磨かなきゃと思いつつも睡魔には勝てず寝てしまった。