【ゴールデンウィーク合宿 1日目】
ゴールデンウィーク初日に、俺らは養成所が所有している島に来ていた。
この島にはロケーション出来る程の設備が整っている。
クラス毎に部屋に分かれると担任である湊が部屋に来た。
湊「毎年恒例のゴールデンウィーク合宿です。この合宿では3人でチームを組み、課題曲の中から好きなものを選んで最終日に発表して貰うよ。元となるダンスはあるけど、アレンジを加えるのは自由。チーム組んだら僕まで報告してね」
誠「3人なら丁度俺達でいいよね。翼も玲華ちゃんもいい?」
翼「誠以外と組む気はない」
玲「私ももちろんいいよ!一緒にがんばろうね」
誠「よかった。じゃあ俺、鷹司先生に報告してくる」
誠が湊への報告を終えると課題曲を4曲渡され、この中から選ぶように言われた。
その4曲とは各シリーズのOP曲だった。
・魔法をかけて
・消えない想い
・まどろむキミ
・甘い恋の毒
誠「この4曲だと、どれにするか悩むね」
翼「一番俺らに合いそうなのは『魔法をかけて』だと思う」
玲「私もそう思った!」
誠「実は俺も思ってたんだよね。じゃあ『魔法をかけて』にしよう」
魔法をかけては本来湊・誠・翼の3人が歌ってる曲だから、俺は湊のパート歌う感じになるのか。
玲「せっかくだし、私は男装してみる?背的には小柄な男の子と同じぐらいだし」
誠「それ面白そうだね」
翼「別にいいけどウィッグとかないだろ」
玲「髪なんて切ればよくない?」
丁度長い髪めんどくさかったんだよな。
切ろうとすると毎回何故か瑛士の阻止が入ってきてうざかったし。
これを理由に切ろう!
誠「切らなくても長髪の男性いるからそれでもいいと思う。せっかく綺麗な髪がもったいないよ」
翼「まぁそのままでいいんじゃないか」
玲「えー切りたかったのになぁ」
誠「俺はそのままがいいからそうしてくれると嬉しいな」
玲「はーい」
誠のこの押しの強さ異様なんだよな。
有無を言わせないこのオーラ。
ゲームの時はそんなこと感じなかったけどな。
まぁ下手に逆らうのも翼っていうモンペがうるさいから大人しくしておくか。
髪を切るのは次の機会だな。
てか髪切られるイベントあったじゃん。
しかも誠のルートで!
あれっていつ頃来るのかな?
翼「この歌の振り分けどうする?」
誠「声のキー的にAは玲華ちゃんでBは俺でCは翼でどうかな?」
翼「まぁ妥当だな。この中じゃ俺が一番低いパート歌った方がいい」
玲「そうだね」
やっぱ俺が湊のパートになるよな。
そりゃあBパートとCパートはご本家様が歌うさ。
まぁ湊パートはよく歌わされていたから歌えるのが幸いだ。
だが問題はダンス。
一応養成所のレッスンを受けているがぶっちゃけダンスは苦手なんだよな。
おそらく舞台でのダンスパフォーマンスのレベルは求められるだろうからマジで鬼門すぎるだろ。
こちとら学生時代ずっと帰宅部だぞ。
誠「とりあえず映像見て歌を覚えつつフリを少しずついれていこうか」
翼「そうだな」
誠は湊から渡されたタブレットに入っている動画を流した
A「魔法の言葉はキミへの愛の言葉」
B「全然意識してくれないキミへ」
C「とびきりの魔法をかけよう」
A「Three」
B・C「そばにいて」
B「Two」
A・C「離さない」
C「One」
A・B「愛してる」
全「キミへの愛の言葉は魔法の言葉」
全「いつまでも解けない魔法をかけて」
全「永遠にキミとの幸せが続きますように」
誠「ダンス自体は基礎をメインに構成されてるから、他と差をつける為にアレンジしたいね」
翼「そうだな」
玲「フォーメーションダンスとかやってみる?」
翼「この短期間では無理だろ。そもそも月見里が俺ら程踊れないし」
誠「翼少し言い過ぎだよ。玲華ちゃんはダンス苦手かもしれないけど、歌は上手いから」
少しどころじゃないです!
全くもって!!!
そして歌もそこまで上手くなくてすまん。
俺の歌唱力は人並みだ。
翼「月見里は社交ダンスおどれるか?」
玲「文化祭の時に踊ったことあるけど」
俺のいた中高では男子校なのにミスターコンとミスコンがあった。
事前投票でミスコン1位を6年間取り続けた俺は後夜祭にて社交ダンスを踊る羽目になっていた。
おかげさまで大変不本意ながら人並みに踊る事は出来る。
誠「曲的に社交ダンスのフリをいれたらいいかもね!」
翼「あぁ。俺と誠も社交ダンス踊れるしカバー的な感じでアレンジ入れたらいいと思う」
玲「そのあたりはもう任せるよ」誠「せっかくだから衣装とかもこだわりたいな」
翼「でも合宿所だからないだろ」
玲「毎年やってるからそういう衣装を用意してあると思うよ」
湊「衣装は色んな種類揃えているから大丈夫だよ」
誠「鷹司先生!」
湊「曲は決まったみたいだけど、ダンスのアレンジを決めている感じかな?」
誠「そうです。せっかく玲華ちゃんいるので社交ダンスのフリをいれようかなと思ってます」
湊「社交ダンスいいね」
翼「俺的には、デュエットになるタイミングで社交ダンスのフリをいれようと思っているんですけど、鷹司先生はどう思いますか?」
湊「いいと思うよ。男女のチームである利点も生かしてるし。それに3人とも社交ダンスの経験あるなら様になると思う」
誠「ありがとうございます」
湊「じゃあ僕は他のチーム見てくるからわからないことあったら言ってね」
アイドルらしくウィンクして湊は別のチームへ様子を見に行った。
いや俺らに対してファンサいらないだろ。
てかなんでファンサみたいなことしてきたんだろ
誠「やっぱ鷹司先生カッコいい」
翼「本当に鷹司先生のこと好きだよな」
誠「そりゃあ憧れてここまで追いかけて来たし」
玲「そうなの?」
誠「うん。元々アイドルになろうと思ってたけど、去年鷹司先生のコンサートに招待されて見に行ったらファンになったんだ」
翼「あの時のはしゃぎよう凄かったよな」
誠「そういってる翼も目輝かせたじゃん」
翼「それは姫咲先生がいたからだ」
誠「姫咲先生凄いよね!男だけど女優っていう肩書きだし、可愛いのにカッコいい」
えっちょっまって。翼って麗央のファンだったの!?
そんな情報ゲームから全て網羅してるはずだけど、どこにもなかったぞ。
もしかしてまだシリーズには出ていない複線か。
せっかくだし少し探るか。
玲「姫咲先生のファンなの?」
翼「違う」
誠「とか言いながらデビュー作の『竜胆の花』で姫咲先生の演技力に魅せられて、出てる作品は全てチェックしてるの知ってるからな」
翼「おい、余計なことは言うなよ」
誠「別に隠すものでもないと思うけど。それに俺も散々言われたし。おあいこ」
玲「確かに色々暴露してるよね」
誠「玲華ちゃんは先生の中でファンっていう人いるの?」
玲「うーーーーーーーーん」
ここはClubの世界だから湊と言っておくべきか悩むな。
いや、万が一聞かれていたらめんどくさいしな。
適当にごまかすか。
玲「それぞれ魅力的なところあるから尊敬出来るから、だれか一人とか言えないかな」
誠「確かに先生達それぞれ別のところで活躍してるからね」
翼「俺は鷹司先生のファンだと思ってた」
はぁ!?
むしろ俺のリア充生活を妨害した敵じゃい!
復讐の為に愛想良くしてるだけだっつーの
玲「違うから!てか早く練習しよう」
誠「そうだね。時間もないし、やろうか」
翼「ごまかし方へたくそすぎるだろ」
玲「いいの!ほらちゃんと練習しないとヒールある靴で足踏んじゃうんだからね」
翼「なんつー脅迫の仕方だよ。俺はともかく誠の足踏まれたら大変だからやるか」
良し決めた。
翼は練習の時に一回ぐらいは踏んでやる。
言っておくけどわりかし社交ダンスなら自信あるからな。
その後誠が主体となり、大まかな流れを決め合宿1日目は終了となった。
本当は誠と翼の部屋に突撃して更なるフラグを作りたいところだったが、眠さに負けてしまい行動することは出来なかった。
あと2日あるし、明日その部屋突撃してラブハプニング的なことを起こす事を決意した俺は目を閉じた。