#64 独占欲②
外との繋がりを削がれ、ダメージはかなりあって、雑誌の女優さんのインタビューを見ていたときには、雑誌を没収されたり、彼女がトイレについてきてと言ってきたりしたが断って、消えていた家電類を探しに行くと、彼女の部屋に家電が沢山あった、その後が今だ。
彼女は僕というより、ただ何かを独占したいだけかもしれなくて、いつものキャラより、彼女がずっしりしているような気がしていて、いつもの彼女は、『女』という漢字くらいの安定感だが、今の彼女は、独占の『占』みたいな、しっかりと地面と設置している感じだ。
部屋には、家電だけでなく、駄菓子が沢山あって、駄菓子が好きなのね、駄菓子が好きなのね、と感じたが、駄菓子というネーミングに、僕は違和感を感じていて、駄菓子本人が言っているならまだしも、他の誰かが付けたっぽい名前だから、もう、完全に見下している。
たぶん、ここからここまでお願いします、とか言って、駄菓子屋で大人買いしたのだろうと思っていて、区間を指定していっぱい買う行動の名称は忘れたが、駄菓子屋という子供の楽園で、大人買いをするという、侵略的な面は、この僕には、了承することができない。
トイレから彼女が出てきた音がして、慌てて部屋から出ようとしたけど、トイレとこの部屋は離れているとはいっても、たかが知れていて、どこにも彼女が通れない場所などなく、【トイレ】という文字の、トとイの間 ≪トイ≫くらいの狭い場所があればいいが、ないからダメだ。
すぐに彼女の部屋の、扉の開く音がして、僕がいる彼女の部屋の扉が、ガチャッと鳴って開いて、僕は10円の棒状の駄菓子の連なりでできた海で、平泳ぎではなく、バタフライではなく、クロールでもなく、シンプル潜水みたいな感じで、身を潜めていた。
ヤバいけど、何かやらかしても、独占されるだけだからよくて、どこまでの独占かは分からないけど、【占】という漢字みたいな場所に閉じ込められて、【占】の上の横棒の右側が、ビルの最上階の外側部分に取り付けられて、吊るされているような状態になったとしても、それはそれでいい。
隙をついて移動して、家具と家具の隙間で、身を潜めていると、彼女が僕のスマホを見つけ、まずは目でなめ回し、次に手でこね回し、次に、頬でスリスリして、がっついていて、がっつき過ぎではないかい?と思ったが、こちらに全く気づかないほど、スマホに一直線だったからいい。
デジタルデトックス、デジデトの時代だけれども、彼女は逆で、デジタル依存症の、デジイゾだろうなと思っていて、デジイゾよりも、発音的にも、字面的にも、全然デジデトの方がカッコいいから、これから先、デジイゾという言葉を使う日は来ないだろう。
リビングに家電が全くないから、何もものを持たないみたいな、よく最近、夕方のニュースなんかでも特集されるヤツかと思っていたけど、違うかんじで、リビングに家電がないだけで、部屋でめっちゃ使うという、デジタル依存で、逆によかったが、全然よくはない。
結局、まだどちらか分からなくて、デジタルを僕に触らせないために、自分の部屋に置いている可能性も、デジタル独り占めしたい可能性もあって、まさに、カナリアか、カナリヤか、アかヤか、みたいな、どちらか分からない状態が続いている。
僕大好きキャラか、デジタル大好きキャラか、分からないけど、本当にもうどっちでもいいと思っていて、いつまでそんなこと考えてんだよ、同じことばかりで全然進んでねえぞ、カナリアとカナリヤのくだり、全然おもしろくねえぞ、と思っている人も多数だろうから、進めよう。
彼女を見ると、テレビをつけてパソコンをいじり、コンポを稼働させていて、まさにデジタルに依存している感じで、僕が電気だったら、【ちょっと、一気に付けたらダメだって。プールのときも水をかけて、心臓をなれさせてから入るじゃんよ。そうじゃんよ】みたいに言うだろう。
タブレットも使い、スマホを使い、ラジオまで聞いていて、五感のすべてでデジタルライフを楽しんでいるよなとかは、少ししか思わず、幾つもある全ての家電を、そつなくこなしている姿を見ただけで、ゾッとし、ゾッとし、ゾッっとし、機械より機械な彼女が怖かった。
怖すぎて怖すぎて、まさにデジタルのモンスターだと感じていて、有名なものとは全く別物だが、あの幾人もの話を同時に聞き分けられるあの人とは全くの別物だが、どちらかというと、彼女の方は、狂気で狂気で、狂気すぎて、協議案件であることは間違いない。
隠れるのがキツくなって、彼女の前に出ていくとタブレットを右手に持ち、スマホを左手に持って、ハグしてきて、電気機器系をひとり占めしているにも関わらず、僕のこともひとり占めしようとしてきて、欲張りな人だな、と思ったりなんかしちゃっていた。




