#63 独占欲
邦楽しか聞かなかった彼女が、洋楽をスゴく歌いこなしていたり、外出時に、彼女がショートパンツにノースリーブだったりして、僕はなぜか、メジャーリーグのどこかの球団らしき帽子をかぶって、外に出ることとなってしまった、そんな日の次の日が今である。
目を開ける前から、右足に違和感を感じていて、寝ている状態から、こんなに違和感を感じることは、初めてで、とか違和感について偉そうに語っている僕だが、違和感を感じる、という『感』という漢字を二回使う、二重表現気味のことをしてしまっていて、違和感の塊だった。
昔、金縛りにあったことを思い出したのだが、きっと、今のは金縛りではないことは合っていて、右足を『哀し針』で刺されている、ということもないだろうから、普通に彼女が、右足を掴んで離そうとしていないだけだろう、そう思ったり、感じたり感じたり感じたり感じたり、した。
おそるおそる目を開けると、彼女が足にへばりついていて、その姿は、オバケというよりナマケモノで、ナマケモノというよりコアラで、コアラみたいにそっと木に掴まる感じではなく、荒くというか、やや小荒くという感じで、掴まっていた。
違和感は足にだけだと、最初は思っていたけれど、足だけではなくて、視覚に意識のピントを合わせると、もうヤバくて、テレビはないし、ラジオもないし、スマホもどこかにいってしまったみたいで、機械という機械が全て消えていて、このキャラは、デジタルデトックスキャラなのかもしれないと思った。
妖怪機械隠し、なんていないし、犯人は彼女だろうと思っていて、「性欲は強いけど、対人性欲は皆無に近いんだ」みたいに言う人の、次の次の、次の次の次の次の次の次に、信用できないけど、このキャラと一緒に今日を生きてく覚悟は持っているから、やっていくしかない。
スマホも隠され電話もなく、家から誰かと繋がることが出来なくなってしまったのだが、その他に、今、少し不安が生まれてきてしまって、それは、さっき、『違和感を感じる、という感という漢字を二回使うこと』みたいな表現を、【漢字】と【感じ】の関係性を意識することなく、してしまったことだ。
束縛か、束縛きつめのヤツか?と思ったが、優しさはあるみたいで、マシな方かもしれないと思ったら、マシな方だと思えてきて、【眠りに就いたらすぐに夢を見て、すぐになんか動物が出てきて、それが即バクだった】としたなら、もう嫌だが、それレベルではないからいい。
外との繋がりを削がれても、ダメージない人間だけど、僕は外と普段から繋がってない人間で、繋がりがナクナッタトしても大丈夫だよな、と思っていたが、ナクナッタト、という片仮名のタトと外は似てるな、と思ったら、そればかり頭に浮かんできた。
愛はあるみたいだから、危害を加えなければいいな、僕に直接的に物理的な力を与えなければ、それでいいと思っていて、そう思っていて、そう思っていて、それでそれで、もう、思考回路が変なことになっていて、思考回路という漢字の中の、四角形のキレイさに、ややビビるしかなかった。
僕は雑誌をパラパラとめくって、普通に雑誌をめくって読む日常を過ごしていたけど、彼女は、ジリジリジリジリジリジリ、ジリジリジリジリジリジリ、ジリジリジリジリ、と音が鳴っているんじゃないかというくらい、じっと見てきて、雑誌に穴が空かないよね、と心配になった。
女優さんのインタビューを見ていたとき、雑誌は没収されてしまい、本当に文字がこの世から消えたみたいに、何の活字も存在しない空間がここにはあって、僕は没収の読み方を、ボッシュウではなく、ずっとボシュウと読んでしまっていて、ボシュウは、呼びかけて集めるヤツやんと、ひとり突っ込んでいた。
完全に嫉妬しているだろうと思うが、それはいきすぎていて、嫉妬してジッと見張る、嫉妬してジッと見張る、嫉妬してジッと見張る、嫉妬してジッと見張る、嫉妬してジッと見張る、嫉妬してジッと見張る、と何回も繰り返し言うくらい、彼女は不気味だ。
彼女がトイレについてきてと言ってきたが、トイレについていくなんて、何かしらのトレイを頭に被って過ごしてくださいと言われるくらい、恥ずかしいものなので、なんとか断って撒いて、回収されてしまった家電類を、急いで探しに行った。
彼女の部屋には、家電だけでなく、お菓子などもあって、ただ置いてあるのではなく、使用感もあって、これは家電好きなだけかと思ったりしたが、使用感という言葉が、4羊羮にしか感じ取れなくなってしまっていて、もう、ようかんが食べたくて、仕方なくなった。
僕に対する独占欲かと思ったが、家電などの物に対する独占欲だろうと思うことに辿り着いていて、作曲するとき、基本は詞先だけど、詞と曲を別々に作って、詞に合わせて曲の調整をするやり方である、両先もたまにするという僕だが、それは趣味で、って、今、何の話してたか、忘れた。




