#60 たくらみ②
普通に見えているけど、どこかで彼女の悪の顔みたいなのが漏れている気がして、サブリミナル不敵笑みが出るか怖くなってきて、やたらとこちらに背を向けていることにも疑問を抱き、もしかしたら、睡眠薬飲ませキャラかみたいに思ったが、違和感があると言えばあるが、ないと言えばない、普通だと感じたのがさっきのことだ。
睡眠薬で眠らせようとしたと、気付いてお返しか?とまた思ってしまったけど、そんなことをするキャラクターなんて、彼女のなかに潜んでいるはずがなくて、睡眠薬という漢字に、何個の四角があるかに、興味が出てきてしまって、14個もの四角形が三文字に?と思ってしまったのだった。
眠らせたあとに抹殺か?という、怖い被害予測妄想もしたが、たぶん違くて、抹殺をされるなんてなくて、もしも、抹殺されても、抹茶の抹が漢字に使われている殺され方なので、まあ、いい方だろうと思ってしまっている。
目を見て話せない人がいるように、正面を向いて話せない人もいるだろうから、彼女の今のキャラは、磁石のN極とN極みたいに、反発して、好きな人と向き合うと、反発力が作用して、正面を避けてしまうみたいな感じかもしれない。
そうなると、話は矛盾していて、彼女の正面がN極なら、自然と、背中がS極になってきて、それならば、僕は正面から、彼女の背中に吸いつけられるはずだが、吸いつけられないということは、間違っているということで、背を向けているとき、彼女が何しているのか、気になって覗いてみた。
スラスラとノートにメモしていて、それは、あとで彼女がノートを見返しても、なんと書いてあるか、彼女でも分からなくなりそうなレベルで、その字に引けをとらないくらい目立っていたのは、書くときに、ぐにゃぐにゃすぎになってしまう手首だった。
僕の分析でもしているのだろうかと、不安になったが、僕は分析をされても、別に特に、これといったあれが出てこない、つかみ所も、にぎり所も、抱きしめ所も何もない、ただフワフワしている生物だから、何もない。
色々と今の彼女は、怪しいことが色々あって、怪しいところが山ほどあるけど、良い人か、悪い人かでいうと、良い人な感じがしていて、普通か普通じゃないかでいうと、やはり、普通に近い、普通から少し離れているが、やや近い、普通寄りの普通だと思っている。
ショッピングセンターに行くことになって、うれしいはうれしいけど、いつも変な彼女だったから、こういう普通の彼女だったらと考えたら、何か違ってきてしまうんじゃないか、という不安が来て、僕は今までショッピングセンターには、ショッピング目的でなく、強い衝撃を求めている、ショッキング目的で行っていたのかもと思ってしまった。
特に変わったことはなくて、寂しくもあったけど、これはこれで楽しくて、これはこれ、あれはあれ、あんときのあれはあんときのあれ、そうしてこうしたことはそうしてこうしたこと、として、割りきって、割りきって割りきって割りきりまくって、行こうと決めた。
でもここは、よく来るショッピングセンターではなく、近くに新しくできたショッピングセンターで、まだ敷地内に入ってからは5分以内で、建物内に入ってからはまだ数分だから、まだ分からないが、手を繋いで二人四脚で歩く敷地内の建物内は、楽しかった。
僕は普通が嫌いなのかと思うくらい、物足りないとは、まだまだ思っていて、[うん][いこ][へえ][はい][それ]の常套二文字返事5選に入るであろう言葉を、何度も使って何度も使って、もうそれしか使ってないんじゃないかと思うくらい、そればかりだった。
雑貨屋さんに入ると、彼女は奥へ奥へと行ってしまって、やや放置キャラかなとも思ってきたが、昔も、最近に近い昔も、そんな感じだったことを思い出して、雑貨屋さんを楽しもう、雑貨屋ファンとして雑貨屋さんを、雑念ぶっ飛ばして楽しもう、楽しもう、楽しもう、そう思った。
電気を使わない加湿器が気になって、夢中になってしまったが、彼女の心配は少ししていて、ほんのすこししていて、電気を使わない加湿器のように、じんわりと彼女に関することを頭に滲ませているような感覚でいて、それ以外の取っ掛かりは何もない。
ずっと彼女のことばかり考えてきたから、こんなことは久しぶりで、心配という漢字の、[配]という漢字の、[酉]という部分の、下の部分にある横線が、あるのかないのかで心配になったことが昔あったが、そんな度合いの心配が、ずっと続いていたのが止んだ感じが、今だ。
文句を言いながら踊ったり、変な叫びをしてきたり、グイグイグイグイグイグイグイグイ来たり、パタパタパタパタパタパタ離れていったり、そんな変なキャラになっている最近の彼女が、大大大好きだったので、あの日の彼女たちに、また会いたいと感じてしまっている。




