#53 エセ関西人②
エセ関西人キャラみたいなキャラになっていた彼女が、そうそうこの丸みを帯びた、たい焼きのフォルムが食欲をそそるんだよねって、これはたこ焼きだよ!みたいに突っ込んできて、クオリティーはさておき、ノリ突っ込みは素晴らしいよな、と思った次の段階が今だ。
僕だけ食べ終わって、こぢんまりと片付けをしていると、彼女が人差し指を立ててこちらに向けたのだが、それはピストルといえばピストルで、ピストルではないといえばピストルではなくて、親指の反りが人間じゃなかったから、そればかり気になった。
鉄砲やピストルのカタチをしているけど、それを向けられたところで、この先、どんな有益なやり取りが執り行われるのか、リアクションは何が正解なのか?、分からなくて分からなくて、よく分からなくて分からなくて、とりあえず時を待った。
ピストルの手のカタチで、次々とたこ焼きを頬張る彼女は、ピストルの手の方を、全く動かさずにいて、こちらのアクションを待っているのか?、こっちが怖がったり、手を上げたりすることを、たこ焼きを食べながら待っているのではないかと、感じた。
相手はエセ関西人だから、オーバー気味に乗った方が良さそうだけど、僕は、晴天の日の太陽の中を、どしゃ降りの中を行くような感じで歩くのが趣味で、歩いていたら、ここの上だけ雨降ってる?、って聞かれたくらいだから、演技は心配ない。
もしかしたら、ピストルの手のまま、たこ焼きを頬張ったことも、彼女の渾身のボケだったかもしれないから、何事にも、突っ込んで突っ込んで、突っ込んで突っ込んで突っ込みまくれば、今は切り抜けられるのかもしれないな、そう思った。
正解が分からないまま、バンと口で言ってきたので、とりあえず撃たれたフリをしようとしたけど、撃たれたことは今までになかったし、特に苦しんだこともなかったし、苦労しているのは、彼女のキャラにだけだから、とりあえず、ありのまま苦しむことにした。
声を出さずに、悶え苦しんでみたら、彼女は関西人のキャラを忘れたのか、関西人キャラがスッと抜けていって、普通の彼女になっていて、普通に心配されて、普通に救急車を呼ばれそうになったから、普通に戻ると、よかったよかった、と言われた。
心配されたけど、ムチャ振りに苦しんでいるだけで、姉の名前は有名芸能人から付けたのに、自分の名前は父の友達から取ったみたい、という事実を僕が知ったときくらい、なんとも言えない気持ちになったのだった。
急病になったわけではないのに、急病だと思われるなんて、ビックリで、どのくらいのビックリかというと、丸まっていた訳ではない卓上カレンダーなのに、なぜか急に丸まってしまっていて、カレンダーは丸まりがちなのかと思ったときくらいのビックリだ。
悶え苦しむ演技をして、騙したということは、一応演技がうまいということなので、それは良かったと思っていて、9秒くらい、自分はなにやってるんだ?、なんでこんなことをやってるんだ?、と思ってしまっただけで、何の違和感も感じていない。
類似メロディ一判定家がいたらいいななんて、いつも思っているけど、いないってことは、パクリ疑惑が消えないということで、常にパクリメロディーを作らないようにと、努力して自作曲を作っている僕だから、いつも不安で、彼女と一緒に外に出ることになっている、今もかなり不安だ。
エセ関西弁は外で通じるものではない、エセ関西弁は外で通じるものではない、絶対に白い目とか、黒い目とか、緑の目で見られるに違いなくて、僕が彼女のエセ関西弁を上回るエセ関西弁を披露すれば、うまく回るかもしれないが、それは出来ない。
値切りをやられたら、どうしようもなくなるけど、そういう場所に行かなければいい話で、普通に券売機だけと向かい合って、人を介さずに楽しめたりするところに行けばいい話だから、なんとかなる、なんとかなる、なんとかなる、そう思っている。
関東人関西色は、もう出さないでく
れよと思っているのだが、それがどういうことかというと、語尾に『やろ』を付ける程度の関西弁をたまにするくらいの、少し薄めのヤツならいいが、オリジナル色強めの、独特なヤツを言わないでもらいたい、ということだ。
ただ、可愛すぎる彼女だから、値切りは容易かもしれなくて、たぶんだが、何も言わずにいても、彼女の顔を見たその瞬間に、店側の人は、『安くしちゃうよ!』とか、『半額に、しちゃうちゃうちゃう、しちゃうちゃう!』とか言ってきちゃうと予想している。




