#44 せっかち③
レストランの席に通されていくと、二人分の料理がもうテーブルに並んでいて、一息もついていないというのに、彼女はもう用意されていたビールをグビグビ飲んでいて、この先どうなるのか?10分で食事完了みたいにならないよな?、とか色々と考えてしまったりして、彼女は、僕と喋りながら電話で誰かと喋り始めていて、ひとりと喋っているのに、もうひとりと喋りたいなんて、せっかち以外の何モノでもないな、と思ったすぐ後が今である。
彼女は食べるのが普通の人よりは早いものの、すごい早いというわけではなく、早いは早いけど、早食いのスペシャリストからしたらそんなに早くなくて、毎回30回噛んでから飲み込む人にとっては少し早いな、程度な感じだ。
食べ終わると、もうお会計は済んでいて、いつの間にか払ったらしいのだが、僕の記憶が確かならば、一度も彼女を一人にはさせていないので、これはもしかしたら先払いが完了していたのではと、思ってしまった。
レストランを出るときも、自動ドアを、伸ばした右手から出ていて、右手は優秀だけど、たまに自動ドアが反応してくれない僕側からの意見を述べるとしたなら、右手という少量の肉体に、センサーが反応するわけがない。
出た後は、走って車に乗っていたけど、走っても2、3秒しか変わらないし、疲れるから、普通に乗った方がいいとは思っていたが、運命は数秒で変わるので、運命を変えたい人は、走ればいいだろう。
気付かなかったけど、車で来たのに彼女はビールを飲んでいて、走って乗ったのは助手席の方で、本当に本当に本当に本当に本当に本当に多少ではあるが、ワガママの成分が含まれているなとか、思っちゃったり、しちゃっている。
一番怖いのは、天井の模様が顔に見えてしまうことだと思っていて、偶然ほど恐ろしいものはないと感じているのだが、この仕組まれた、僕が運転するというワナは、一番怖い出来事に、この先なるかもしれないような出来事だった。
渋滞とかに巻き込まれて、彼女がイライラしなければいいのにな、とか色々と願っていたら、渋滞情報やら、抜け道ルートやらを検索することができるアプリを起動させて、彼女が詳しく道を案内しはじめて、さすがせっかちさんだな、と思った。
デパートに行きたいと彼女が言ってきて、あのデパートだよな、あのデパ地下とかがある、美味しいものがたくさんある、あのデパートだよな、と思ったりしたが、彼女が欲しいであろうアイテムが、あまり思い付かない。
今のキャラだと、何か目的がないと行かないだろうと思っていて、無駄な行動はしたくないから、これだと決めたもの以外はやらないと思っていて、ウインドーショッピング的なことはしないと思っているので、何かあるのだろう。
計画に前から組み込まれていた、デパートなのだろう、きっと、計画に前から組み込まれていた、デパートなのだろう、きっと、計画に前から組み込まれていた、デパートなのだろう、デパートの構造を事前に理解して、進路を正確に決めた上でのデパートなのだろう。
デパート内では、競歩の大会ではないのに、五人抜きくらいしていて、そんなに急いでもあまり、意味はないかもしれないよ、自己満足的な意味合いしか、含まれていないかもしれないよな、と心の中では思っていて、すごく言いたかった。
抜きたい性格なのだろう、きっと抜くことに命を懸けた、抜くためだけに生まれてきたと言っても過言ではない、そんな抜きが生活の一部になったキャラなのだろう今の彼女は、と思ったりなんかしちゃったり、しちゃったり、しちゃったりした。
一直線にエレベーターの前に行くと、彼女はボタンを連打し始めて、絶対エレベーターはもうすぐ来るのに、連打をし始めていて、1回押したのと、10回押したのでは、たぶんどっちも来るスピードは変わらなくて、労力の違いで一回の方が得だとは、思うのだが。
押す指は、美しく振動していて、一秒間に数十回押しているような、もっともっと押しているような、そんな感じで、見ていて悪くは思わなかったが、あまり目立ってほしくないなと、ほんの少しだけ思ったりしてしまった。
エレベーターに乗ったが、降りる前の彼女は陸上競技のスタート前みたいな感じで立っていて、短距離走のクラウチングスタートではなく、中距離などのやや中腰的な姿で立っていて、どれだけアスリートなんだよ、とツッコミを入れたくなった。




