#38 イエスマン
有名な女優になりきった彼女が現れて、モノマネみたいな感じで現れて、「私、超有名俳優と結婚するの」と言ってきたりしたが、その超有名俳優さんの具体名を出してこなかったし、たぶん嘘で、その前の激辛まみれになった嘘つきキャラのときよりも、だいぶマシになっていたけど、まだ嘘キャラ継続中かと、思っていた昨日がやっと終わって、今日がやって来た。
こっちの思い通りにやれるキャラが、今までいなくて、学校の先生をお母さんと呼んでしまうことがよくあるのだから、お母さんを先生と呼んでしまうこともよくあるのだろう、みたいに色々考えることが出来る余裕が生まれるくらいのキャラがいい。
写真を撮るとき、ハイチーズと言った後だと、口がチュ一みたいなカ夕チになってしまって笑顔にはなれないので、ハイチーズティ一と言えば、口が横に開いて笑顔になれると思っているのだが、彼女のキャラが今まで、曲者ばかりだったから、マイルドなのもほしいと思っていて、やさしいチーズティーくらいのまろやかさは、欲しいと思っている。
甘いものの後に、せんべいが食べたくなるように、濃いキャラの後に、味がしないくらいのキャラが欲しくなるのは、必然だと思っていて、理想は素焼きして塩も振ってないような、シンプルなアーモンドくらいだろう。
目を覚ますと、かなり理想の現実が広がっていて、朝のニュース番組のアナウンサーのトーンが低すぎると、こちらまでどんよりした気分になるので、いつもチャンネルを回してしまうのだが、そういう暗い感じは、どこにもない雰囲気が広がっていた。
料理を作る彼女が、普通にいて、普通のフライパンに、普通にハムとたまごを落として、普通にレタスをちぎって、お味噌汁の味噌を溶き入れていて、普通だなぁ、普通だなぁ、普通だなぁ、普通だなぁと、4回くらい思ったりしたのだった。
特に変な言動も服装もなくて、猫舌という言葉があるのだから、猫のように少しの変化でも驚く人のことを、猫敏感と呼んでもいいよね?、と言ってくることもなく、シンプルな彼女がそこには広がっていた。
普通の昔の彼女に戻ったのだろうか、本当に普通の昔の彼女に戻ったのだろうか、普通の彼女を演じているのではないか、それとも、かなりヤバイキャラにこれからなるから、その前に普通に戻っておく、みたいな感じのヤツなのだろうか、よくわからなくて怖い。
彼女が料理を配膳しだしたので、手伝ったけど、配膳は慣れている感じで、普段からやっている感じで作業しているように見えていたのだけど、全然普段の彼女ではなくて、普段の彼女を【彼女】とするなら、今の彼女は、ギョウニンベンを取った【皮女】だろう。
少し気になったのが、生の玉ねぎサラダを出してきてしまっていることで、生の玉ねぎを出してくるなんてありえなくて、お腹が鳴ることを、避けるためなら何でも出来た学生時代と今は全く違うから、今なんでもやれと言われても出来ないから、嫌いな生の玉ねぎは、食べられない。
僕が玉ねぎを嫌いなことは、今の彼女の脳にはないらしく、玉ねぎが好きな人でも、ちょっとなと思う人の多い生食を、玉ねぎ嫌いな僕に仕掛けてくるなんて、僕に、エロは好きだけど、エロすぎると気持ちが悪くなってくるのはなぜなのだろうか?、と聞いてくるくらい愚問だ。
玉ねぎを出さないでほしいと、柔らかめに言って、一気に食べ干したのは、波風を立ててしまうと、これから先の未来に嵐を呼びかねない、これから先の未来に嵐を呼びかねないという想像が、頭から離れなくなってしまいそうに、なってしまいそうだからだ。
彼女が僕に向かって、何かしてほしいことはあるのか聞いてきてくれて、懐が深いタイプか、懐が深くて、何でも受け入れてくれて、何でも言うことを聞いてくれて、怒ることはなく、ずっと微笑みを維持して接してくれるタイプのキャラに違いないのか、と思った。
何でも言うことを聞きたいらしく、何度も何度も、私に出来ることはないか、私に出来ることはないかと、聞いてきて、思い付かないでいると、また聞いてきて、さすがにシツコイなとは思ったけど、今までのキャラに比べたら、何の苦痛も感じないほどだった。
尽くすキャラになったということか?尽くすキャラになったということか?尽くすキャラになったということか?尽くすキャラになったということか?と、これから先の二時間半は、頭のなかでずっと、ループし続けそうだ。
嬉しいけど、度が過ぎることが多いから心配で、下手な回答をしたもなら、逆ギレするパターンも考えられなくはないから、慎重に慎重に、して欲しいことを考えて、語尾を特に丁寧にすることを心掛けて、挑みたいと思う。




