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#31 探偵③

スマホを見るよ!みたいなことを言われたが、その中のメモには彼女のキャラ対策のメモが、びっしりと書かれているから避けたい、みたいな状況になって、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、とパニック一歩手前みたいになりそうだったのが、今である。


イヤホンの、耳に入れる柔らかい部分が無くなったなと思って、探したけどなくて、耳を探ったら耳のなかに入っていて、最近のイヤホンの装着部は柔らかすぎだなと思ったことがあるのだが、そのイヤホンの装着部くらい、彼女の心も柔らかいと思うので、このスマホを見られても、怒ることはないだろう。


怒ることはないだろうけど、落ち込むことはあるかもしれないと感じていて、イヤホンは絡まりやすくて、5秒ですぐほどけたときと、1分以上ほどくのにかかったときでは、その後の作業効率が全然違うが、彼女にスマホを見せてしまったら、僕のイヤホンほどき10分のあと、みたくなってしまうだろう。


テレビの二時間ドラマで犯人が、憎しみ続けた親友を、怒りを込めて刺そうとする前に、ちょっとずつ包丁の刃先を相手に向けるとき、みたいな渡し方で、スマホを彼女に渡してみたけど、彼女はスマホの操作の仕方が、僕の母みたいに遅かった。


今度は、身体を調べたいからと言ってきて、手を広げさせられて、どれくらい手を広げさせられたかというと、腰上辺りから袖口辺りに至るまで、衣装にヒラヒラが付いているとしたら、そのヒラヒラが綺麗に、ヒラリヒラリと広がり果てるくらいだ。


それで、なんか頭の先から、なんか足の先まで、ほんとなんか、ぐちゃぐちゃに触られて、僕は可愛がられている誰かの愛犬くらい、ぐちゃぐちゃに触られているな、でも、愛されているのとは、少し違う触り方だな、みたいに思いながら、時を待った。


ちょっと触り方はキツめだが、逆に愛は一番あるんじゃないかと思い始めてきて、箱ティッシュもそうだけど、ビニールの容器に包まれた大きいティッシュも、なかなか取り出しづらいから改善してほしいな、みたいなこともちょっと前から、思い始めていた。


今の彼女のキャラが、探偵キャラだと、ずっと思っていたけど、これは探偵と言うより、警官寄りではないかと思っていて、「あなたの心に手錠をかけて、あなたの心が私から離れないようにするわよ」みたいなことを、彼女が言っているところを想像してしまった。


ひとりで出掛けて、彼女が僕を追い掛けてくるかどうかを確かめようとしたのだが、これは絶対意味のあることだと思っていて、サワラとワラサ、どっちがどっちなのかを考えるだけでいつも、かなりの時間を消費していて、いつも無駄だなって思っているが、それよりは断然意味のあるものだろう。


彼女にひとりでコンビニに行くことを伝えると、頬や口周りや鼻は動かさず、眉毛を吊り上げることだけをしたくらいで、なんの不快感も示さずに、素直に許してくれて、僕は家の中だけなら、一日中、目を瞑っていても十分に生活できるような自信があるけど、今はずっと目を開けておこうと思った。


僕が出掛けようとすると、まったく出掛けることをこちらに伝えることがなかった彼女が、急にサングラスをかけ始めて、これは尾行されるこれは尾行される、絶対いま尾行スタイルの整え中だ、絶対いま尾行スタイルの整え中だ、みたいに思ったりした。


フライングのサングラス着用で、尾行がバレバレだけど、もしかしたら、ここが眩しいだけかもしれないし、部屋にだって眩しい箇所はいくつかあるから、尾行とは断定できなくて、恐る恐る彼女に出掛けるのか聞いてみると、出掛けないと言ってきたので、出掛けないのだろうと思った。


食レポをするときに、口に入れてすぐに、【ん一】と唸る人が多いのは、美味しさをはやく誰かに伝えたいけど、口を閉じながら喋れる言葉が、【ん一】くらいしかないからだろう、という考えと同じくらい自信があるのが、ひとりで家を出てすぐに、電柱に隠れた今、彼女がすぐに僕を追って家から出てくるということだ。


案の定、家から出てきた彼女が、えっ?えっ?と大声を発していて、えっ?えっ?と中くらいの声を発する時もあれば、えっ?えっ?と小声を発する時もあって、パニックになっているという言葉が似合うような、行動を彼女はしていた。


地団駄みたいなことを、彼女はやっていて、怒らせたなと思ったのだが、地団駄といっても、ごく普通の右足で地面を何度も踏みつけるタイプのものではなくて、ケンケンパという遊びと、スキップの要素が少し含まれた、独特のものだったが、すぐにそれが地団駄だと分かった。


そのあと、その場で彼女は、仁王立ちしていて、僕はその場から動けなかったのだが、他に考えることがなく、一日に一回は誰かに「人生2回目?」と突っ込みたくなる状況が訪れるけど、同じ人物が2回目の人生を歩むことはないから、たぶん人生2回目ではないんだろうな、みたいなことをずっと考えていた。

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