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#25 ぶりっこ

計画的なキャラだったのに、彼女に時間だよと言っても、あと一分みたいに言われて、完全に予定をぶっ壊していて、そんな彼女の人間感が可愛くて可愛くて仕方なくて、みたいに感じていたのはもう昨日のことで、もうそんなこと思っていない。


目は覚めたのだけど、怖くて目が開けられないのは、彼女が昨日以上のモンスターになっているかもしれないという、不安に似てるけど不安ではない何かに、押し潰されそうだからというのが、正直なところだ。


昨日のキャラが今日も、この部屋にいたのなら、仮病を使いたい気分だけど、全国一は訳せば日本一のことで、全国一という漢字に送り仮名を付け足して考えてみると、全ての国の一位となってしまって、それはもう世界一だから、もう、とにかく、考え方を変えてみようかなとも思っている。


もしも、彼女が昨日の計画的なキャラのままで、僕が彼女の前で仮病を使ったとしても、たぶん彼女は看病計画表を作るだけで、関わりが減ったりせず、時間に追われる日々みたいな感じは変わらないだろうし、もう打つ手なしみたいになる

ことは分かっている。


恐る恐る目を開けると、静かに笑う彼女がいて、土曜日と打とうとして、間違えて土曜Bと変換してしまったけど、あまり違和感無かったから、そのままでいいかなと思ったりしたこともある僕だけど、今の瞬間はそのまま静かに笑う彼女が続くことを、そのままでいいかなとは思えなかった。


しかも、よく見ると静かに笑っているだけではなく、丸めた二つの手をアゴに当てていて、目を擦ったけど、変わらずに丸めた二つの手をアゴに当てていて、マネキンの多い洋服屋に長い時間いたからなのかは分からないけど、ショッピングセンターの通路に出たとき、客の幾人かがマネキンに見えてしまったことが前にあって、それかもと一瞬は思ったけど、そのような現象ではないと確信した。


しかも、よく見ると、丸めた二つの手をアゴに当てているだけではなくて、口を膨らませたりなんかもしちゃったりしていて、カレンダ一の黒文字と青文字と赤文字の比率の、赤が多めだった時に、少しだけ引いてしまうのは仕方ないことだろうけど、このぶりっこみたいなキャラに、少しだけ引いてしまうのも仕方ないことだろう。


よく見ると、顔だけでなく、顔周りだけではなく、ピンクのフリフリのワンピースを着ていて、頭はお団子になっていて、ぶりっこキャラは確定したのだが、ぶりっことは縁があまりなくて、そんなに好きでも嫌いでも普通でもないから、とにかく頑張ってやっていきましょうか、みたいなノリで乗りきって行こう的な感じでやろうと思っている。


しかも、彼女の手をよく見ると、彼女の手をよくよく見ると、彼女の手をよくよくよくよく見ると、手鏡を握りしめていて、【最初からスッと一枚ずつ出て、最後にもまとめて出てこない、そんなティッシュペーパーをずっと待っているのに、全然市場に出てこない】そんなモヤモヤと、彼女の姿を見たときの気持ちは、似てなくもないなと感じた。


ずっと何も喋らなかったが、彼女がついに、口を開いて、しっかりとした言葉を発した、だけど、それはもういつものしゃべり方ではなくて、本当に彼女なのか疑問に思うくらいの、可愛さを追求しましたけど何か?みたいな、作られた声だった。


僕の名前の頭文字に、伸ばし棒とクンをプラスした、メルヘン風のあだ名で呼ばれてしまい、今度はどんなオリジナルの言葉が飛び出すのか、そんな興味をたくさん抱くことに関しては、最高水準に到達したけど、それだけだった。


好きな人は好きだが、嫌いな人は嗚咽するくらい嫌いなヤツだなと、頭の中では思っていたが、音を出さずに、『でもこんな人、好きな人は好きなのか、好きな人は本当に好きなのか?」という口の動きを連発している自分に気づいた。


これは、正真正銘のぶりっこキャラで間違いないだろうと思っていて、マスクの自動販売機があったらいいなとも思っていて、ぶりっこキャラとマスクのことを同時に考えてしまったせいか、彼女がピンクのフリフリのマスクをしている姿が、頭に浮かんできてしまって、やさしく振り払った。


もうここは、彼女のキャラがまとめられたノートを見るしかない、彼女のぶりっこキャラはノートが一番知っているのだからと思い、ノートを出して、ノートを広げ、ノートをめくり続けたりして、ノートに目をずっと向け続けた。


確か少し前にノートをパラパラと見たとき、ぶりっこキャラはあったはずだったが、このノートは手作りノートであるから、目次のような親切な作りにはなっていなくて、見つけられぬまま時は少し流れたけれど、やっと見つけることができた。


見てみると、『否定せずにノッて、褒めてあげて』と書かれていて、これからはイラッとくる行動でも、理解に苦しむ言動でも、普段の彼女とはかけ離れたことを実行したとしても、そのレールの上を走って、褒めて褒めて褒めて、もう褒めることしか出来ないくらいの、身体になるくらいにまでなろうと、心に決めた。

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