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#18 天然ボケ

【無料大蒜配布】という漢字の真ん中に挟まれた二文字が全然読めなくて、筋肉のために彼女が背負っていたリュックサックから漢和辞典を取り出して調べようとしたが、誰もこんな形で辞書を使うときが来るなんて、夢にも現実にも思わなかっただろう、みたいに僕が思ってしまっていた日の次の日のことである。


朝起きると、Tシャツを上半身に着るのではなく、下半身に履いている彼女がいて、それを見てから一秒も掛からずに、脇腹のことを【弁慶の笑いどころ】と言ってくる友達以上に今日の彼女はヤバイな、と感じ始めてしまっていた。


しかも、こんなにコケコッコーが似合うような窓の外の景色なのに、今は昼くらいかな?とか言ってきていて、ここは結構朝みたいな雰囲気なのにな、ここ結構、ここ結構朝みたいな雰囲気なのにな、みたいに思ってしまっていた。


僕のことを見るなり、彼女は僕のどこの部分を切り取ったのか、僕にママと呼んできて、寝ぼけであってくれ、寝ぼけであってくれと願い、そして、【暇潰しと言ったのか飛沫防止と言ったのか、よく分からなかったニュース】を思い出して、それを考えるしかなかった。


たぶん寝起きが悪いようなキャラだろうと、すぐに今日のキャラの方向性は推測できたのだが、とにかくヤバそうなキャラであることは確定していて、洗車直後のフロントガラスに鳥の糞、みたいなことわざがあると思うが、それと少しだけ似ているが、似ていないようなものだろう。


今、彼女はパーカーを着ているのだが、彼女は寝起きから一段階前に進み、目がしっかりと鋭く変わったあとも、さっき着替えたそのパーカーのヒモをイヤホンと間違えて耳に入れたりと、【おバカな彼女の行動とは?】という大喜利の答えにしか出てこなそうなことが、実際に出てきてしまっていた。


朝の日課なんだよね、という言葉を繰り返しながら、彼女はヨーグルトを出して食べて、ヨーグルトを食べたあとの容器とスプーンをゴミ箱に捨てて、鼻をかんだティッシュと口を拭いたティッシュを冷蔵庫に戻そうとしていた。


ネッシー安くサメ安い?みたいなことを、スーパーの魚売り場で呟いている人を見たら、恋せずにはいられないと思うけど、今の彼女はかなりの天然で、どんなキャラなのか全く想像できないのに、そのキャラに恋せずにはいられないほど、どっかに惹かれてしまっている僕がいた。


天然は二人なら楽しめるが周りに人がいたら地獄になる、天然は二人なら楽しめるが周りに人がいたら地獄になる、それに気づいたけど、そんなキャラたちに限って外に出たがるキャラが多いんだよな、そうなんだよなとか、色々と思ってしまった。


なぜか、どのキャラも外に出たがるけど、なんでみんな外に出たがるのかは、僕が全ての言葉に四文字表記できる別名がほしいと思っていることとか、南アメリカ大陸とアフリカ大陸がどれだけ離れているかが知りたいと思っていることとかくらい、考えて考えてずっと考えている。


暗いキャラのときも外出したと記憶していて、彼女の外出は、【数えてみるとヒトデの数が足りなくて、水槽からヒトデが逃げ出したので捜索しているが、人手が足りない】みたいな、よく分からないヒトデと人手の絶妙な融合みたいな妄想を僕がするのと、同じくらい当たり前なのかもしれない。


出掛けることになって、バッグを持って向かうと、彼女はもう外に出ていて、絶対普通に物事は進むはずない、絶対普通に彼女との物事が進んでいくはずないと思っていたら、やはり、普通じゃない姿で、外の風景にスッと溶け込んでいた。


彼女は室内用のスリッパを履いて外にいて、彼女のあまりの天然っぷりに、僕のなかの何かがおかしくなりそうで、学校で言うところの、【みんなを腐らせにくくするタンニンみたいな担任】みたいな人がいてくれたらな、なんて思ったりした。


しかも彼女は、鞄もバッグも目的も、その他諸々も何も持っていなくて、ひとり散歩みたいなスタイルで、「戻って準備してまた集合」的なことを彼女に言うと、僕は、素人という言葉を検索サイトさんはたぶん、エロい言葉だと認識しているなとか、夫を妻が誘って縛ったとしても誘拐と言うかい?とか、考えながら待った。


戻っていった彼女は汚れたスリッパで、そのまま部屋に向かい、陰性と陽性のどっちが悪い方なのか、陰気と陽気の持つ言葉の意味の特性と混ざってしまい、たまにどっちがどっちか分からなくなってしまう僕は、今もパニックでパニックで何も出来ないでいた。


急いでなくていいのに、小走りで外に出てきた彼女が、ポケットにスマホと間違えて入れていたのは、カタチがスマホとほぼ一緒でそっくりな温度計で、そこから不安がさらに増加し、草加市の名物のせんべいみたいに、脳がカチカチに硬くなっていくのが分かった。

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