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#17 筋肉バカ②

今はただ彼女の補助をするだけでいいから、色々なことが考えられて充実していて、今日はずっとトレーニング補助員のままでいいと思っていた、そんな日の少しあとの今、出掛けることになったけど、彼女が持ってきたリュックがデカすぎて、もう僕の妄想のひとつやふたつが軽く弾けた。


彼女のリュックを覗くと、小さい辞書から大きな辞書まで、もうわんさかわんさかと、大量の辞書が出てきて、筋肉バカと、天才が愛読しているであろう辞書の関係性について、何やら重大な事実があるように思えてきた。


彼女は生粋の筋肉キャラだが、少しおバカキャラではあるから、筋肉バカの略さないで言う言い方は、〈筋肉が程よく付いたバカ〉でいいだろうし、もうバカが強すぎて筋肉が薄れかかっているから、何も前につかないバカと呼んでもいいだろう。


回れ右!という命令口調の少し偉そうに聞こえる号令を掛けられたのに、一回にも満たない半回転しか要求してこない形であるということは少し矛盾していて、バカな彼女が、勉強のために辞書を持ち歩くというのも、少し矛盾していると思うので、そんなわけないだろう。


筋肉を付けるための辞書だろう、筋肉を付けるための辞書だろう、筋肉を付けるための重りのための辞書だろう、とキンニクだけに、心のなかで『今29』回も思ってみたけど、彼女はそんなことする人じゃないから、もう筋肉と共にどうにかなりそうだった。


バカと筋肉と辞書の関係性を考えれば考えるほど、よく分からなくてパニックになってきて、もしも「近藤克俊結婚活動10周年記念パーティーで蒟蒻カツが出た」と言う記事を読んで、それはコンカツパーティーだったみたいと聞かされたら、どのコンとどのカツを取ったのか悩まされるだろう、みたいに考えている僕がいた。


彼女のリュックには、辞書やら辞書やら、辞書やら辞書やら、辞典やら字典やらが大量に入り、選挙ではなく占拠されているので、何も入らないから僕が、彼女の辞書以外の大量の荷物を持つ羽目になってしまって、夜更けには僕がマッチョになっている予感だけが高鳴っていた。


彼女のリュックサックに入っている大量の辞書たちで調べても調べても、これでもかこれでもか、うぉーうぉーと言いながら調べても調べても、一ミリも分からないような難解なことばかり今は起こるから、頭の中が辞書のような、四角くて硬いもので占領されたような感覚になっていた。


準備が整ったので出掛けたが、彼女がすぐに座り込んでしまって、色々原因を考えてみたものの出てこず、本当のサプライズプロポーズは初対面でのサプライズプロポーズだろう!本当のサプライズプロポーズは初対面でのサプライズプロポーズなのだろう、とずっと思うことをなぜかしていた。


座り込んでびくともしないということは、立てなくて座り込んでいるのか、それとも座るのが好きで座り込んでいるのか理解できなくて、換気扇を騒音紛らわし器として使ってしまっている僕がいるのだから、全く別の理由で座るという行為をしていても全然おかしくないのだ。


やはり重すぎたのだろう、かなりひきつった顔をしていて、【マスク無し あるのは菌と 日々増す苦】という川柳を作ってしまったあの日の僕の顔に似ていて、話し掛けても話し掛けても無駄だよ、みたいな顔もチラつかせてきて、もう何も出来なかった。


その後、人が変わったか変わってないかのちょうど狭間の顔をしてきて、目を瞑って精神統一をし始めたのだが、僕の頭のなかでは、【ボンボンの航希、鈍器放って】という、大好きなお店でよく流れている、友達の航希について歌ったかのような歌がリピートで流れていた。


どうやら、ズッシリリュックサックを運ぶことに限界を覚えたのではなく、出掛ける時に必ずする流れみたいな感じのルーティンらしくて、ルーティーンか、ルーティンか、ルーチンか、ルーチーンか、あれの名称はどれが合っているのかで、相当悩んでしまっていた。


目を開けて立ち上がり、猛スピード早歩きをした彼女は、【無料大蒜配布】という六文字熟語が書かれた張り紙が貼ってあるスーパーを横切りそうになったが、その張り紙に吸い付けられるように、ズインズインとスーパーマーケットの敷地内に入っていった。


【無料大蒜配布】という漢字の真ん中に挟まれた二文字が全然読めなくて、

彼女のリュックサックから漢和辞典を取り出して調べようとしたが、誰もこんな形で辞書を使うときが来るなんて、夢にも現実にも思わなかっただろう、みたいに僕は思って思って思いまくっていた。


調べるとその漢字はニンニクで、ニンニクなんて読めないよとか、ニンニクはあまり好きな方ではないから要らないよとか思ったりもして、「カッコイイ!」は大声よりも小声の方が本物の確率大だな!みたいなことも少し思ったりしながら、今が初めて辞書が役に立った瞬間になったなと嬉しく思っていた。

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