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#13 ハイテンション③

ついテンションを抑えるように、押さえつけるように、彼女の肩に手を置いてしまい、急にスンッと何もかも静かになって彼女はかなりのテンションの低さになってしまっていて、嵐の前の静けさという言葉が頭に浮かんだ、みたいなそんな日の翌日が今日である。


朝は昨日と同じく彼女の叫びで目が覚めて、【またハイテンションキャラなのか?】【再びハイテンションキャラなのか?】【このままいくとハイテンションキャラ七日間なのか?】みたいに考えてしまったり考えてしまったり、まったり出来ないままいた。


しかし今日は機嫌が良くて、ハイテンションキャラのときに、怒ったり怒鳴ったり、【時計の短針・長針・秒針が丸い時計の本体をちょうど3等分にしている場面を一度見てみたい】というようにワガママを言うこともなかった。


ノリノリの曲をかけて、たまに叫びながら歌う彼女は、ひとりの世界に入ったり出たり、出たり入ったり、入ったり入ったり、入ったり出たりを繰り返したり、繰り返したり繰り返さなかったり、繰り返さなかったり繰り返さなかったりを繰り返していて、ハイテンションキャラが僕のベストパートナーになりかけていた。


この普通ではない幾つものキャラになってしまう彼女と付き合っていく上では、彼女の機嫌がいいことが何よりも重要なことで、【干渉】【感傷】【緩衝】【勧奨】【完勝】など、かんしょうと読む言葉のほとんどが、彼女との生活での重要なキーワードだったりした。


彼女のスマホが鳴って、画面を見た彼女が何でだよ!とハッキリ叫んでいて、怒りゾーンに入ってしまいそうな雰囲気に包まれてしまい、【最近の僕は一人で道を歩くときに、1秒3、4歩くらいで早歩きしてしまっていて、そのことにさっき気付いた】ということさえ忘れかけてしまうくらいの凄さだった。


[速度を落としてください]という立て看板が道に立っていたが、車は急に止まれないけど、はや歩きは急に止まれるので、速度を落とさずにピタッと止まって見せた僕みたいには、効率良くできない彼女は、楽しみにしていたイベントが中止になったらしいのだが、ハイテンションを怒り発散の方向に向けていた。


ハイテンションキャラはまだマシな方だと思っていたが、機嫌も悪くなるし、悪化すると一番厄介なキャラクターだと気づいてしまい、二日連続は胃がもたれそうだなとか、自分から『モテないよ』とか言う人はモテてきた人で、【モテないよ】の前の【最近はね】を省いて言ってるだけだよな、とか考えてしまっていた。


楽しみにしていたのは、さっき彼女が歌っていたアーティストの無料ライブで、好きなアーティストというだけではなく、無料ライブという、タダで音が聞ける空間に行けることがなくなったという、ダブルのショックだったから、後が不安だ。


歩いていたら読めない名字の表札があって、下に小さくローマ字で書かれていることにも気付いたけど、立ち止まったり凝視したりすると、怪しまれるので普通に通りすぎたのだが、それは過去のことで、今はこの彼女の問題から普通に通りすぎず、立ち止まって凝視するときだ。


家でライブ風のものをやろうかなと思い立ち、早速あちらこちらそちらあちらに、若干パニックになりながら動き回り、キャラの多い彼女のためのものは家にかなり溢れているので、それをフルに使うことで、明るい兆しが見えてくる気がした。


彼女が厄介なキャラに陥った昔のこと、家で僕が作る本格チャーハンが食べたいと言い出して、その時に買ってしまった、もう使うことの無さそうな本格中華鍋とかもあるけど、今は使うことがあまりなく、叩いて音で起こすくらいしか用途はないだろう。


[いい意味で]という言葉は、[い]が3連続で続いていて、いい意味で言いづらい言葉であるが、プロジェクターで白い壁にライブ映像を流して彼女と見ているこんな時間は、いい意味でかけがえのない時間で、悪い意味でどうしようもない時間である。


機嫌は良くなって、うるさくなってうるさくなって、ウザくなってウザくなって、騒音レベルの上限を遥かに越えた声を彼女は出していて、デシベルの天井はまだまだまだまだ見えてこないし、【《景気・為替》は興味ない。洋菓子店の《ケーキ買わせる》店員は今日見ない】という変な言葉が急に脳に表れ出した。


スマホを落としたはずなのに、落としたスマホが朝には枕元に戻っていたら、恐怖でまたわざと道にスマホを落としてしまうだろうけど、今の彼女は楽しそうにしているから、燃え尽きた感じがする彼女に、わざわざ僕から何かを仕掛けることは、しなくていいだろう。


彼女が属していたその時その時のキャラクターに満足して、もう彼女がそのキャラクターでの未練がなくなり、もうすることが何にもなくなってしまった場合、翌日には他のキャラになることが多いが、今回はどうなるのか、心配で夜も朝も昼も寝られなくなりそうだ。

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