#10 探偵③
彼女のママはマンションに入っていって、そこはそこそこ高級マンションで、そこはママの妹の家だということが判明して、彼女の毎日変わるキャラのことも、彼女の今のキャラクターである探偵キャラのこともママは知っていて、それはママ公認キャラクターらしかった、というところまでが前回である。
探偵みたいについていって結局見つかって、結局一緒にママの妹の家へ入っていくことになって、北極みたいにブルブル震えたりしながら、各局のテレビカメラが撮りたくて撮りたくて震えるみたいな、豪華な部屋に通された。
そこには彼女の姪がいたのだが、その姪というのが少し変わった娘で、姪だけにメーメーひつじのように鳴いているわけではなく、姪だけに五月が好きそうというわけでもなく、姪だけに【迷】というわけでもなく、普通っぽいけど何かが変なのだ。
その姪は小さい女の子で、オバサンの雰囲気は全然纏っていなくて、誰が見ても正真正銘の女の子だが、僕のお母さんみたいと言えば僕のお母さんみたいで、みたいではないと言えばみたいではないみたいな、そんな一般的なお袋みたいなことを僕に言ってきたりして驚いた。
遠かったでしょ?とか、よく来たね?とか、あの女の子の口から出るのも不思議なのに、声質まで大人みたいになっていて、おばあちゃんみたいなことを言っていると言ってもいいくらいのおばあちゃんだった。
姪のことで頭がいっぱいで、その姪はメーメーとは鳴かないと、さっき思った気がするが、【鳴】もメイと読むことに気づいたり、正真正銘の女の子だ、みたいにさっき思った気がするが、僕は小心証明の必要のない男だなと今思ったりした。
姪の名前は真星<ませ>ちゃんで、今は五歳らしいのだが、漢字の字面で感じる分にはカッコいいのに、【ませ】と聞くとどうしてもあれを考えてしまい、頭がパニックになってしまい、彼女は今まで、誰かに偶然会っても仲介するみたいな流れになることはなかったので、今は驚いている。
【今日は日差しの強いなか、足をお運びいただいてありがとうございます】とだいぶ時間が経ってから真星ちゃんに言われて、どうしても結着剤のことを夜な夜な考えてしまっている僕だから、色々と想像をあちらこちらや、そちらあちらに飛ばしまくってしまっていた。
お茶でもいかがですか?と真星ちゃんに言われたけれど、紅茶は好きだが、緑茶はあまり好きではなくて、麦茶も飲み飽きていて、外れの確率の方が高いということで、お水を頼んで、普通を生きることにした。
夕方から深夜までのテレビ番組は大体チェックしているせいか、会社の人に最近の有名な女子プロレスラーを知ってるか聞かれたときに、知ってますよって言ったら、何で知ってるの?とかなり驚かれたことはあるが、今は僕たちの関係について、真星ちゃんに聞かれて答えるところだけれど、たぶん何を言ってもあんなに驚かないだろう。
普通に彼女のことを、朝も昼も夜も、『ドラッグストアに行ったら、ゴキブリに触れず、ゴキブリを潰さず、ゴキブリを生け捕りできて、ゴキブリをそのままポイできるような、接着シートのようなものが付いた長い棒みたいなものが売っていて、長い間見つめてしまったそんな時』も、ずっと考えていたはずなのに、もっとお互いの気持ちを考えて行動するように真星ちゃんに言われた。
真星ちゃんに名前と生年月日を聞かれたので、名前を伝えようとしたが、自分の名前の漢字なんて説明したことないから焦っていると普通に、紙とペンと怪しい微笑みを渡されて、『あぅ、はぁーん、ほぉん』ってなった。
どうやら僕たちの関係などについて占ってくれるらしいけど、『占』という漢字をたて読みにすると、カタカナの『ト』と『ロ』みたいに見えてきて、もう、とろタク巻きくらいしか頭で活躍するものがないくらいにまでなってしまっていた。
たぶん知っていると思っていたのだが、真星ちゃんも彼女の毎回変わるキャラのことについてよく知っていて、芸能人のそっくりさんは、牛乳と豆乳のようなものだと思っているが、彼女のいつかのキャラと、今の真星ちゃんも、たぶん牛乳と豆乳のようなものだろうと思っている。
占った結果、相性がよくて別れることはないと言われたけど、『うらなった』『うらなった』『うらなった』『うらなった』『うらなった』『うらなった』と脳内ループさせてしまった結果、『裏に成った』と変換させて、将棋の『と金』が頭に浮かんできた。
真星ちゃんが姪ではなく従姉だと気が付いて動揺したり、真星ちゃんの強烈なキャラで忘れていたが、僕の彼女は探偵キャラの真っ最中で、『占いは、人間に隠すように神様が作った難解な情報を、占い師が解読してまとめたものである』みたいなカッコいいけど、信憑性はあまりないような言葉を探偵のように語ったりしていて、探偵キャラだと思い出した。




