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第20話:20話目にしてあの“男”が現れる!奴がね!

ピチョンピチョン


遠くの方で水滴が落ちる音でランドは目が覚めた。隣では、ソフィアがスゥスゥと寝息を立てて眠っている。

大きく欠伸をして目を擦り周りを見渡した。

薄暗い部屋で窓が1つ。窓には鉄格子…扉も合ったが扉に付いている窓にも鉄格子が付いていた。ランドは体を起き上がらせた。

「ここは…?そうか、牢屋にぶち込まれたのか」

足元をネズミが走るのが見えたので捕まえると、その場で食す。空腹だった腹が少し満たされた感覚だった。

「くそっ!アイツが…アイツが黒幕だったのか」

ランドは静かに毒ついた。その声に反応してか、ソフィアは目が覚めた。

「ん?アレ?お兄ちゃん…おはよう」

まだ寝惚けてるのか、周りの状況が上手く理解出来ていなかった。

目をシパシパさせているソフィアにランドは問いかけた。

「ソフィア…森に帰るか?」

いきなりの告白に、まだ事態を飲み込めないのかソフィアは目が点になっていた。

「何を今更?ドコに『帰る?』って言うポイントがあったの?」

「いや…コレは俺の問題だしソフィアだけでも森に還そうかなって思ったんだけど」

「私だけでも?って言うか、もうこの問題はお兄ちゃんだけの問題じゃ無いと思うんだ」

「俺だけの問題じゃ無い?」

「うん。ルナお母さんも、プリムさんも絶対に何かがおかしかった!ルナお母さんがお兄ちゃんを忘れるなんて有り得ないもん!あんなお母さん見るの嫌だもん!」

「ソフィア…プリムは?」

「アレは別に良いよ」

ソフィアはニカッと笑った。

「別に良くないけどな…ところでパメラはどうなったんだ?」

ランドの問いにソフィアは少しうつ向いて首を横に振った。

「パメラさん…助けられなかったのゴメンなさい」

「そうか…」

ランドも少しうつ向いた。

「ちょっと!私生きてるからね!アンタ達なら臭いで分かるでしょ!」

隣の牢屋から声が聞こえてきた。

「私、今でもパメラさんの声が聞こえてくるの。パメラさん早く成仏して!お願い!」

「ソフィア!あんた、助けるのが面倒だから私を死んだつもりにしようとしてるわね!」

隣の壁に亀裂が走る。と同時にドカンと壁が砕けた。

「パメラさん…クルシスランドに来ちゃった以上、お兄ちゃんとプリムさんの間に入る事は不可能なんですよ…諦めて下さい」

しれっとした態度でソフィアは言った。

「な…何言ってんのよ!私はただ、ランドが心配だったからこうして付いてきた訳であって別にそんなんじゃ無いし!」

慌てて反論するが、ソフィアは軽く無視をした。

「お兄ちゃん…コレからどうするの?」

ランドは未だに考えてる様だった。長い沈黙を破りランドは手を叩いた。

「よしっ!とりあえず飯にしよう!」

「お兄ちゃん…もしかして性格が戻って来ちゃった?」

そんなソフィアの疑問を無視しネズミがいないか辺りを探し始めた。



「ルナお母様、大丈夫?」

プリムはまだ落ち着かないルナの肩に手を置いた。

「あの化け物とソフィアちゃんが仲間だったなんて…」

ルナの手はガタガタと震えていた。

「ソフィアも最初っから怪しいと思ってたんですよね!最初見た時から…」と言葉を止めた。

“最初見た時”とは、いつだったか。ソフィアとの最初の出会いは、町の中でぶつかった時に“何か”を落としたんだ。

その“何か”を見て――プリムは思い出そうとするが、何かが思い出せない。

「お母様、ソフィアは何の用事でここに来たんでしたっけ?」

「それは…」

ルナも言葉を止めた。何かが思い出せなかった。

「誰かが怪我をしたからだったから?」

とても悲しかった事があった気がした。

「息子達が誘拐されて、誰かが助けてくれたのよ。その誰かの傷を癒す為でしょ?」

「そもそも、何でソフィアが傷を癒す力があったのが知ってたの?」

「それは、聖なる狼クルシスの子供だったからよ」

ルナは納得した感じに笑った。だが、プリムはまだ疑問が残っている様だった。

「聖なる狼クルシスって、私達と何の関係があるんでしたっけ?」

「えっと…」

再度、言葉を止めた。

確かに関係無さそうだ。ソフィアがいる理由も…そんな事を言ってしまったらプリムは何でここに居るんだろう。

「私、何かを忘れてる!ソフィアが居る理由が分からない!私も…」

「そうね…プリムちゃんは待ってるのよね?」

「誰をですか?」

「私の息子を…」

「ソルとルルをですか?」

「ううん…違う。私の息子…」

ルナの頭に激痛が走る。分からないけども、何かが無いのが分かる。

ソフィアが居る理由…

プリムが待つ理由…

顔が思い出せない息子…

聖なる狼クルシス…

昔、息子が居た気がした。とても明るくてオトボケで…

急にルナの目から涙がこぼれ落ちた。

「私、何で泣いてるの?」

プリムに視線を向けた。プリムも同様に泣いていた。

「分からない…けど、何かが邪魔して思い出せないの!大切な何かを…」

プリムはその場に座り込んでしまった。

“家族”…永遠の家族…クルシスの花の花言葉…誰に聞いたのだろうか…

昔もこんなことがあった気がした。

誰かの記憶が無くなり、必死でルナを探していた。ソフィアにも助けを求めた。

その誰かは、国を守る為に自分の命を犠牲にした。

いつもは頼り無いクセに、私をいつも見守ってくれていた。

その誰かとは……


「僕、土木もんですー!」

急に、ルナとプリムの間にハゲでマッチョでサングラスをかけたフンドシ一丁の男が現れた。


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