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第12話:人を思う気持ちは誰だって一緒なんだなぁと思ってみる一日

連載スタートしてみます。

「だーかーら、付いて来なくて良いんだってば!」

「嫌よ!私も連れてって!」

1つの部屋で言い争う男と女。

「速攻で行って帰ってくるから、部屋で待てってば!」

「私を置いてかないで!ううう…」

「て言うか、何でそんな話し方をしてんの?」

「風陰気で──」

何の風陰気だろうか。

「とにかく!パメラは付いてきちゃ駄目だ!危険かも知れないし!」

"かも"と言うのは、何百分の1の確率で万が一と言うことがあるかもしれないのだが。そもそも、魂を持った人間が普通の人間と戦うと言うほど楽な戦いは無い。

だがそれでも、本当に万が一があるかも知れない。ランドの今までの戦いで、楽な戦いと言うのはカボチャ人間との戦いくらいだった。

「大丈夫だって!自分の身は自分で守るから!」

1人で部屋で待つ──それは、暇と言う時間を過ごさなければならないと言う事。

それから40分が経ち、パメラの必至の説得により付いて行く事が確定した。

「それにしても──娘が誘拐だなんて」

暑い日射しが降り注ぐ中、ランドは宿屋の主人から貰った水を飲みながら呟いた。

「何かおかしな点でもあるの?」

水を受け取り空になるまで飲み干す。日射しが強いせいか、頭がぼんやりとしてくる。

「宿の中で匂いがしなかったんだよな」

「匂い?だって娘さんは、盗賊に誘拐されてるんでしょ?」

宿屋の主人の話では、娘が砂漠に住む盗賊に最近誘拐され、困っていると言う話だった。

「そうなんだけど──それでも、必ず宿に匂いは移るハズなんだよな。あの宿には、主人以外の匂いは全くしなかった」

ランドはどれくらい鼻が良いのだろうか──犬の嗅覚は、人間の10倍と言われてるが、果たして人間の姿のランドがどれくらいの匂いをかぎとれるのかはパメラ自信は分からなかった。

「匂いなんてすぐ取れちゃうものよ」

あまり気にする事でも無いかの様に軽く答える。

「そうかな…」

ランド自信は、まだ半信半疑な様子だが──そんな意思とは裏腹に宿の主人が言っていた盗賊の住む洞窟が見えてきた。

洞窟は、陽の光が当たらないせいか奥の方は真っ暗になっていた。

外は灼熱の暑さに対し中はひんやりとした空気が漂っている。

「本当に、こんな所にいるのかな…」

洞窟の入口でパメラは呟いた。

「奥の方から人の気配がするし、僅かだけど匂いもする」

ランドはスタスタと洞窟の中へと足を踏み入れた。おいてけぼりを喰らったパメラも、急いでランドの後を追う。

洞窟の中は、明るくも暗くも無い。外から見た時は真っ暗だと思っていたが足元が見えるくらいの明るさはあった。

「そうか…そうか──成程な」

不意に、ランドは口ずさむ。

「何が成程なのよ」

不思議に思いランドに聞く

「いや、気にしなくって良いよ。それより、俺から離れるなよ」

離れたくても離れられないのだが、パメラは頷いた。

奥に進めば進むほど中の温度は下がっていく。

そんな中、松明の明かりが見えてきた。

「だ…誰じゃ?」

明かりの付近にいた老人がランド達に気づき声を上げる。

「きゃっ…盗賊?」

老人に驚いたパメラは、ランドにしがみついた。

「違うな。彼らは、多分あの町の住人だと思うよ」

"彼ら"と言うことは、他にもいるのだろう。

パメラは辺りを見回すと、老人の他にも子供から大人まで様々な人がひっそりと座っている。

「これは…どういう事?」

「多分だけど、この人達は町から追い出されてココに監禁されているんだ。町に居たのは多分、盗賊達だろうね」

軽く笑いながらランドは答えた。

「気付いてたの?」

「ああ…なんかそんな気がしてた。現に、洞窟に入る前に色んな匂いがしてたからさ」

「だったら…」

パメラは拳を固めた。

「分かってんだったら何とかしなさいよっ!」

パメラの拳はランドの腹に突き刺さる。

さすがのランドも、予想外の攻撃だったのだろう。避ける事も出来ず腹を押さえながら地面を転がり悶絶する。

「私達が来たなら大丈夫よ!一緒にココから出ましょうよ!」

しかし、そんな明るい言葉を聞いても誰も反応は無かった。

皆、死んだ魚の様な目をして蹲っている。

「ねえっ!大丈夫よ!私達がココから出してあげるから!皆立ち上がってよ!」

パメラは必至に呼び掛けるが、その声は洞窟の奥に木霊となって返ってくるだけだった。

「もう良いんじゃ無いかな?出たく無い奴らなんだよ。こんな奴らほっといて先を急ごう」

何とか回復をしたランドが口を開いた第一声だった。

「ランド!何を言ってんのよ!アンタ自分の言ってる意味が分かって言ってるの!」

「ああ分かってるよ。この人達は、自分達が住んでた町を追い出されて、家も何もかも捨ててココに逃げて来たんだ。もう捨てた物なんか要らないんだろ?な?」

ランドは、町の元住人達に言い放つ。

「人間ってのは、自分より強い相手がいるだけで尻尾巻いて逃げる弱い存在なんだよな」

「ふ…ふざけんなっ!何が弱い存在だ!」

町の若者だろうか、イキリ立ち立ち上がる。

「弱えーよ。弱すぎなんだよ!お前らは何で群れてるんだ?助け合う為か?己の心を惑わらす為か?」

ランドは若者の前に立ちはだかる。

「俺たちは…」

若者は目を伏せた。

「どんな動物でも、強い相手には勝てない。だけど、戦う気持ちとお互いを思う気持ちがあれば例えどんな相手でも勝てるんだよ」

言葉を聞いて若者の目にやる気が宿る。――いや、若者だけでは無い。他の町の住人もやる気がみなぎってくるのをランドは感じとった。

「しかし、ここからどうやって出るんじゃ?」

老人が口を開いた。

「俺がいるなら、ここから出る事は簡単だ。後は、アンタらに任せるよ」

「ランドもたまには良いことを言うじゃない」

パメラは笑いながらランドの肩を叩いた。

「君達は一体…」

住人の一人が聞く。

「私達は、ただの旅人よ!ほら、みんな集まって!作戦を練るわよ!」

ランドはパメラの姿を見送りため息をつくと、後ろを振り向き呟いた。

「俺は、なんでこんなに人間を好きになったんだろうな…」


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